ヴェルディ 歌劇 アイーダ プライス ゴール ヴィッカース メリル トッツィ シーゲレ 極美品 ショルティ ローマ歌劇場 1961. ダブルデッカ ドイツプレス

ショルティのアイーダです。ショルティ向きの曲と思いのほか 結局これが唯一の記録となってしまいました。ヴェルディの再録は“仮面”と“オテロ”くらい…それも“パヴァロッティだから”という気配が濃厚で、“ファルスタッフ”以外 ご本人はそれほど好んでいた訳ではない事が察せられます。この盤に関しても、“ショルティ唯一の”よりは “プライス一回目の” の方が注目度が高いのは紛れもない事実で、その意味では結構な録音が残ったものだと感じます。以下 整理して…

・ ショルティのヴェルディは 筋肉質で少し塩辛く、若い頃のムーティに近い感じ。ローマのオケがいつになくシャープで、普段は聞こえない旋律や楽器が明瞭に鳴り響く。ショルティが特訓したのだろう。
・ 前半は良いペース。“凱旋の場”から急に慌ただしくなり、クーデターでも起きたのかと…。バレエだって あれでは振りを付けては踊れまい。ゆるゆるとセレモニーを見せきったカラヤンとは対照的。
・ ドラマの盛り上がりと音楽の足取りをほぼ同義と捉えているらしく、３・４幕はショルティ節が全開。人物がまだ舞台で動いているのに 音楽だけ先に終わってしまう感はあるが、それはそれで魅力的。
・ プライスはいつもながらの美声。若い頃なので 低音も美しく響くし、ショルティも伸び伸びと歌わせている。“ビョルリング事件”の直後なので、さすがに同じ轍は踏めなかったはず。
・ ゴールは 良い意味で標準的。バルビエリ・バンブリー・ディミトローヴァのライン。シミオナートやコッソットが余りにも個性的かつ完璧なので、そのぶん割りを食っている格好。“型”と言える程のものは無いらしく、言葉じりもフレーズも少し流れて 印象が弱まる。
・ ヴィッカースは“いかにも”の出来で、剛毅とも直裁とも…。知情を兼ね備えたベルゴンツィとは好対照で まさに古代人の面影。コレルリをシブく野暮ったくして… ロブストの魅力は満載。一本杉。
・ メリルの声は やはりドラマティコではないが、勘所をピタリと押さえて 全くオペラティックな表現。芸達者。
・ トッツィの立派なランフィスのほかに クラバッシとかシーゲレとか懐かしい名前が連なる。

かつてはRCAから発売されていた録音で、プロデューサーもお馴染みの“リチャード モーア”。当時 デッカとRCAは提携関係にあり、デッカ専属のアーティストがたびたびRCA録音に参加していて、のちにそれらがデッカとRCAに振り分けられる事になる。これは “トスカ”“ファルスタッフ”“ワルキューレ”“ドン・ジョヴァンニ”などと共に 発売がデッカに改まったケース。契約の切れ目がいつ頃なのかは分かりませんが、RCAが血相を変えてアイーダやトスカの再録を始めたのが1970年からなので、旧録の発売期限もその頃迄だったのかと考えます。

極美品です。CD初出盤ではなく、その次くらいの製品だと思います。おしゃれな装丁が印象的。もっとも…色無地に小さな写真を据えた青いプラケースのデッカ初出盤群では テバルディもシミオナートも別人のように聞こえていましたが、このプライスはいつものプライスで ちょっと安堵。コピーライトは1999年 ドイツプレス。

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