亀田鵬斎（かめだ ほうさい、1752年〈宝暦2年〉－1826年〈文政9年〉）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した儒学者・書家・文人画家です。
書と画に優れ、洒脱な人物として多くの文化人に親しまれました。

■ 基本情報
本名：亀田 篤信（かめだ あつのぶ）
号：鵬斎（ほうさい）、鶴洲（かくしゅう）、達磨居、拙堂など多数
生年：1752年（宝暦2年）
没年：1826年（文政9年）
出身地：武蔵国江戸（現在の東京都）

■ 経歴と人物像
幼少期から学問に秀で、特に朱子学や**古文辞学派（荻生徂徠の流れ）**の影響を受けながらも、自由奔放な文人精神を体現しました。
官職に就くことはなく、江戸の町人文化の中で文人として生涯を送った特異な存在です。
「書家」「画家」「儒者」「風狂人」とも称されるように、既成概念にとらわれない軽妙洒脱な人格で多くの人を魅了しました。
風采は奇抜で、破れ笠に麻の衣、袴をはかずに町を歩く姿などが記録されています。

■ 書・画・詩の特徴
書は、王羲之や唐の書風に影響を受けつつも、自由な筆致で感情を表現。
絵は南画風で、山水や人物を描くことが多く、即興性と遊び心に満ちています。
詩文は古典に通じ、中国詩や儒教精神をベースにした格調高いものもあれば、町人風俗を詠んだユーモラスな詩も多数あります。

■ 関わりのあった人物
谷文晁、酒井抱一、浦上玉堂ら文化サロンの文人と親交が深く、江戸後期の文人ネットワークの一角を担いました。
特に浦上玉堂とは親交が深く、文人画と詩文を交わす仲でした。

■ 代表作と評価
書や画の作品は多くが残されており、現在も茶掛や文人趣味の軸物として高く評価されています。
特に「狂詩書」「達磨図」「寿老人図」などが人気。
その風狂的で人間味あふれる人柄と作品は、後世の文人やコレクターに多大な影響を与えました。

■ 総評
亀田鵬斎は、江戸町人文化と文人精神が交差する時代において、自由と風雅を体現した破格の文化人です。
その書画は現在でも書道・茶道・文人趣味の分野で高い人気を誇っています。



表具寸法（軸先含む）★約39×172
本紙寸法★約29×99


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