松岡正剛／柳美里著、「①白川静：漢字に遊んだ巨人／②色川武大：穏やかにアウトロー」（ムック）です。NHK 《知るを楽しむ》2008年2-3月 私のこだわり人物伝。状態は、全般にかなり良好です。送料は、クリックポストで185円です。

★内容：　
①白川静：　漢字研究の第一人者として学問に邁進した96年の生涯をたどる。［語り手］松岡正剛
②色川武大：　戦中戦後の闇、人の狂気を静かに描いた異形の作家の素顔に迫る。［語り手］柳美里

◎白川 静は1910年（明治43年）、福井県生まれ。中国文学者であり漢字研究の第一人者。尋常小学校を卒業後、後に民政党の代議士となる広瀬徳蔵の事務所で働きながら夜間の立命館大学専門部国漢科に通う。このとき、広瀬氏の蔵書の中から[国訳漢文大成］などに親しみ、単に読むだけではなく、平仄を調べ書写するなど、このときの経験が後の漢字学への研究につながっていく。立命館中学教諭を経た後、1941年、31歳で立命館大学法文学部漢文学科に入学し、卒業後、同大学予科教授を経て教授を務める。1970年「漢字」（岩波新書）により白川漢字学が初めて一般の目に触れる。以降、「詩経」、「金文の世界」、「孔子伝」などを書き下ろし、1984年に、50年に及ぶ研究成果を盛り込んだ漢字の字源辞典「字統」、「字訓」（両書でのちに菊池寛賞）を刊行し、続いて1996年に漢和辞典「字通」を刊行し字書三部作を完成した。1997年に朝日賞を受賞。同年4月、文字文化研究所所長、理事長となる。1998年に文化功労者、2004年に文化勲章受章。2006年死去（享年96）。

◇［語り手］松岡正剛（まつおか せいごう）は1944年、京都生まれ。早稲田大学仏文科出身。東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を経て、編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。1971年に工作舎を設立し、オブジェマガジン『遊』を創刊。超ジャンル的編集と先駆的グラフィズムを次々に生み出し、アート・思想・メディア界に多大な影響を与える。1987年に編集工学研究所を設立、情報文化と情報技術をつなぎ、応用発展させる活動を展開。数多くの企画・開発プロジェクトのプロデュースや監修、演出を手掛ける。2000 年にネット上で連載をスタートした壮大なブックナビゲーション「千夜千冊」は300万アクセスを超える。同年、インターネット上で編集術を学ぶことができる「イシス編集学校」を開校した。また、日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し、独自の日本論を展開している。著書に『知の編集術』、『日本流』、『フラジャイル』、『日本という方法』、『17 歳のための世界と日本の見方』、『にほんとニッポン』、『国家と「私」の行方』ほか。編集構成に『情報の歴史』、『色っぽい人々』、『ＮＡＲＡＳＩＡ』、『日本力』、『意身伝心』、『匠の流儀』、『インタースコア』など。

◎色川武大（いろかわ たけひろ）は1929年、東京生まれ。小説家、エッセイスト、雀士。中学校になじめず中退。戦後、放浪と無頼、映画や演劇の日々を送り、その後「小説クラブ」の編集者を経て文筆生活に入る。1961年「黒い布」で中央公論新人賞を受賞。しばらく低迷の時代があったが、阿佐田哲也名義の『麻雀放浪記』など麻雀小説のヒットにより大衆作家としての地歩を固めていく。麻雀の分野においては、麻雀を単なるギャンブルではない「知的なゲーム」、カルチャーとして広めたという意味で戦後最大の功績者であり、「雀聖」と呼ばれている。作家としては色川名義で主に純文学を、阿佐田名義でギャンブル小説（無頼漢たちを主役に据えたピカレスク小説）を発表したほか、井上志摩夫名義で時代小説なども書いた。代表作として、『怪しい来客簿』（泉鏡花賞）、『離婚』（直木賞）、『百』（川端康成賞）、『狂人日記』（読売文学賞）、ほかに『引越貧乏』、『生家へ』、『恐婚』など多くの作品がある。1989年死去（享年60）。

◇［語り手］柳美里（ユウ・ミリ）は1968年、神奈川県生まれ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」を経て、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を受賞。その後、小説『フルハウス』で野間文芸新人賞・泉鏡花文学賞、『家族シネマ』で芥川賞、『ゴールドラッシュ』で木山捷平文学賞、『命』で編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。主な著作としてほかに、戯曲『グリーンベンチ』、小説、『タイル』、『男』、『石に泳ぐ魚』、『8月の果て』、『雨と夢のあとに』、『黒』、『山手線内回り』、エッセイ・私記『水辺のゆりかご』など、また『家族の標本』、『私語辞典』、『自殺』、『命』、『魂』、『生』、『声』、『名づけえぬものに触れて』、福田和也との共著『響くものと流れるもの』、絵本『月へのぼったケンタロウくん』など多数の作品がある。

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