大山誠一編、「聖徳太子の真実」です。平凡社ライブラリー。455ページ。状態は、全般にかなり良好です。送料は、クリックポストで185円です。

★内容：　聖徳太子の基本史料を検証し、太子不在の歴史の道筋を探るとともに、その後の太子信仰の展開を追った刺激的な一冊。　千数百年の間、比類なき偉人とされてきた聖徳太子。だがその存在は、万世一系のイデオロギーを強固にすべく『日本書紀』に描かれた虚構であり、藤原不比等や長屋王らによりつくられた虚像であった ――。長きにわたる『日本書紀』の呪縛から日本古代史を解き放ち、歴史学・国語学・宗教学など関連資料の総点検により、太子像の真実とその信仰の謎を解く。

　序論　聖徳太子の解明に向けて　／大山誠一
　第１部　聖徳太子は実在したか　〈史料論〉
　　　・近代歴史学と聖徳太子研究　／吉田一彦
　　　・天皇号の成立と東アジア　―　近年出土の木簡と朝鮮の金石文を手がかりにして　／増尾伸一郎
　　　・推古朝遺文の再検討　／瀬間正之
　　　・「元興寺伽藍縁起弁流記資材帳」の信憑性　／吉田一彦
　　　・『上宮記』の成立　／大山誠一
　　　・『上宮聖徳法王帝記』成立試論　／大山誠一
　　　・法起寺塔露盤銘の成立　／大山誠一
　　〈コラム〉
　　　・「上宮」の意味　／大山誠一
　　　・飛鳥時代の仏教　／御子柴大介
　　　・法隆寺釈迦三尊像台座の墨書銘　／大山誠一
　第２部　『日本書紀』と聖徳太子
　　　・『日本書紀』の構想　／大山誠一
　　　・日本書紀』と渡来人　／加藤謙吉
　　　・道慈の文章　／吉田一彦
　第３部　聖徳太子信仰の展開
　　　・「救世観音」の成立 ― 霊験化された聖徳太子　／藤井由紀子
　　　・『聖徳太子伝暦』がつくりあげた太子像　／渡辺信和
　　　・『四天王寺縁起』の成立　／榊原史子
　　　・聖徳太子の墓誕生　／小野一之
　　　・顕真と慶政 ― 中世法隆寺の復興的様相と展開　／藤井由紀子
　　　・浄土真宗における聖徳太子信仰の展開　／脊古真哉
　　〈コラム〉　
　　　・愛馬、黒駒の墓と寺　／小野一之
　関連年表ほか

★編著者、大山誠一（おおやま せいいち）は1944年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程中退。中部大学人文学部教授。専攻は日本古代政治史。著書に『長屋王家木簡と奈良朝政治史』、『長屋王家木簡と金石文』、『〈聖徳太子〉の誕生』、『聖徳太子と日本人』、『日本書紀の謎と聖徳太子』など。
・共著者、吉田一彦（よしだ かずひこ）は1955年、東京都生まれ。上智大学大学院博士後期課程満期退学。名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授。専攻は日本古代史・日本仏教史。著書に『民衆の古代史』、『古代仏教をよみなおす』、『仏教伝来の研究』など。
・同、増尾伸一郎（ますお しんいちろう）は1956年、山梨県生まれ。筑波大学大学院博士課程。東京成徳大学人文学部教授。専攻は東アジアの思想と文化史。著書に『万葉歌人と中国思想』、『アジア諸地域と道教』（共編）、『環境と心性の文化史』（共編）、『新羅殊異伝』（共編訳）など。
・同、瀬間正之（せま まさゆき）は1958年、群馬県生まれ。上智大学大学院博士後期課程。上智大学文学部教授。専攻は上代文学。著書に『記紀の文字表現と漢訳仏典』、『風土記の文字世界』、『古事記音訓索引』など。
・同、御子柴大介（みこしば だいすけ）は1955年、東京都生まれ。駒澤大学大学院博士後期課程満期退学。駒沢女子大学日本文化研究所研究員、駒沢学園女子高等学校・同高等学校講師。専攻は日本古代仏教史。著書・論文に「光明子の仏教信仰」、『シリーズ女性と仏教1―尼と尼寺』、「国家仏教論小考」、「天武朝の仏教政策についての覚書」、『奈良仏教の地方的展開』など。
・同、加藤謙吉（かとう けんきち）1948年、三重県生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。成城大学・中央大学非常勤講師。専攻は日本古代史。著書に『蘇我氏と大和王権』、『大和政権と古代氏族』、『大和政権とフミヒト制』など。
・同、藤井由紀子（ふじい ゆきこ）は1963年、愛知県生まれ。成城大学大学院博士課程後期修了。一橋大学イノベーション研究センター研究員。 著書に『聖徳太子の伝承　―　イメージの再生と信仰』など。
・同、渡辺信和（わたなべ のぶかず）は1949年、岐阜県生まれ。中京大学大学院修士課程修了。元同朋大学仏教文化研究所研究室長。専攻は中世文学・仏教文学・聖徳太子伝。2010年没。著書・論文に『冥報記の研究』、『「聖徳太子伝」における乳母』、『「聖徳太子伝」における蘇我馬子像』など。
・同、榊原史子（さかきばら ふみこ）は1971年、東京都生まれ。日本女子大学大学院博士課程前期修了、成城大学大学院博士課程後期単位取得退学。成城大学民俗学研究所研究員。専攻は日本古代史。著書に『四天王寺縁起』の研究　―　聖徳太子の縁起とその周辺』など。
・同、小野一之（おの かずゆき）は1960年、埼玉県生まれ。中央大学大学院前期博士課程修了。府中市郷土の森博物館館長。専攻は日本古代・中世文化史。著書に『武蔵府中くらやみ祭』、『新版 武蔵国府のまち 府中市の歴史』（共著）、『検証・日本史の舞台』（共編著）など。
・同、脊古真哉（せこ しんや）は1960年、和歌山県生まれ。奈良大学文学部史学科卒業。愛知学院大学・同朋大学・名古屋市立大学非常勤講師。専攻は日本宗教史。著書に『蓮如方便法身尊像の研究』（共著）、『陰陽道叢書』（共編）、『立山曼荼羅と観心十界曼荼羅』など。
（上記の編著者情報はいずれも本書出版時点のもの）

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