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B2240 蒼き炎の二重奏 美しいオパール3.55ct 上質ダイヤモンド0.04ct 最高級Pt900/18金無垢ブローチ 重さ8.8g 幅36.6×19.7mm拍卖
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B2240 蒼き炎の二重奏 美しいオパール3.55ct 上質ダイヤモンド0.04ct 最高級Pt900/18金無垢ブローチ 重さ8.8g 幅36.6×19.7mm
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B2240 蒼き炎の二重奏 美しいオパール3.55ct 上質ダイヤモンド0.04ct 最高級Pt900/18金無垢ブローチ 重さ8.8g 幅36.6×19.7mm
商品编号:c1041965488 【浏览原始网页】
商品件数:1
商品成色:其他
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可否退货:不可以
开始时间:2025-10-29 23:10:31
结束时间:2025-11-05 23:10:31
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蒼き炎の二重奏

序章

汐見岬(しおみみさき)の古い屋敷が、いよいよ人手に渡ることになった。母・百合子(ゆりこ)からの事務的な電話で、三崎(みさき)はその事実を知らされた。祖母・咲(さき)が亡くなって、もう三年になる。草木が伸び放題になった庭、潮風に晒されてくすんだ壁。思い出だけが住み着いたあの家を取り壊す前に、一度だけ残されたものを整理しに行く。気乗りしないながらも、三崎は週末に実家へと車を走らせた。
ジュエリーデザイナーとして都心で働く三崎にとって、過去を振り返るという行為は、デザインのスランプに陥った心をさらに重くさせるだけのように思えた。コンペで思うような結果が出せず、クライアントの要望に応えるばかりの日々。「あなたのデザインには、魂が感じられない」。先日、辛辣な批評家から投げつけられた言葉が、耳の奥で棘のようにちくちくと痛む。
埃っぽい祖母の部屋で、三崎は桐の小箪笥を見つけた。母は「ガラクタばかりよ」と吐き捨てたが、その一番下の引き出しの奥に、さらに小さな紫檀(したん)の箱が隠されていた。そっと蓋を開ける。ビロードの布に鎮座していたのは、息を呑むほどに美しいブローチだった。
二頭のイルカが寄り添うデザイン。片方は温かみのある18金、もう片方は、月光を思わせるプラチナ。金のイルカの瞳には、深い森の色を湛えたエメラルド。プラチナのイルカの瞳には、夜明けの海の静けさを宿したサファイア。そして二頭の間で、まるで戯れあうように零れた水の飛沫のように、一粒のダイヤモンドが、控えめながらも確かな光を放っていた。
だが、三崎の心を奪ったのは、その造形以上に、金のイルカに抱かれるように留められた大粒のオパールだった。それは、ただの宝石ではなかった。雲間の夕日、嵐の前の海の不穏な煌めき、春の陽光に透ける若葉の瑞々しさ。小さな石の中に、無限の風景と感情が渦巻いている。石の奥から、蒼い炎、専門家が「プレイ・オブ・カラー」と呼ぶ遊色効果が、ゆらりと浮かび上がる。それはまるで、誰かの秘められた情熱そのものが、悠久の時を経て結晶になったかのようだった。
ブローチの裏には、精緻な彫りで『B2240』という製品番号と、小さなアトリエの刻印が刻まれている。そして、もう一つ。肉眼ではほとんど見えないほど小さな文字で、『Fr Saki, von Leo』と。
「レオ…? 誰…?」
祖父の名は、正雄(まさお)だ。三崎の知らない名前に、胸がざわついた。母に尋ねても、「さあ、知らないわ。おばあ様は、昔のことは何も話さない人だったから」と、興味なさげな返事が返ってくるだけだった。
このブローチは一体、何なのだろう。誰が、どんな想いで祖母に贈ったのか。オパールの奥で揺らめく蒼い炎は、忘れ去られた過去からの呼び声のように、三崎の心を捉えて離さなかった。スランプで行き詰まっていたはずの心が、かすかに疼き始める。これは、ただの美しい装飾品ではない。ここには、私がまだ知らない、祖母の、そして誰かの「魂」が込められている。
その日から、三崎の静かだった日常は、このイルカのブローチを中心に、大きく旋回を始めた。それは、時を超えた愛と哀しみの物語の、始まりだった。

第一章 過去への扉

三崎は、ブローチの謎を解く手がかりを求めて、古い宝飾専門誌をめくり、インターネットの海を彷徨った。裏蓋に刻まれたアトリエの刻印は、『Atelier K』。横浜元町にかつて存在した、知る人ぞ知る宝飾店だった。しかし、とうの昔に店は閉じられ、職人の行方も知れないという。
諦めかけたとき、宝飾史を研究する大学教授のブログで、『Atelier K』の特集記事を見つけた。創設者は、工藤周五郎(くどうしゅうごろう)という名の、戦前から活躍した名工。彼の作品は、顧客一人一人の物語をデザインに昇華させることで知られ、「物語るジュエリー」と呼ばれていたという。記事には、周五郎の息子が、今も横浜の片隅で小さな写真館を営んでいると書かれていた。
微かな希望を胸に、三崎は横浜へと向かった。古びた商店街の一角に、その写真館はあった。ガラスの引き戸を開けると、カラン、と懐かしい鈴の音が鳴る。店主は、工藤と名乗る白髪の穏やかな老人だった。
三崎がブローチを見せると、老人の目が、驚きに見開かれた。
「…これは、親父の作品だ。間違いない。子供の頃、親父が夢中になって作っていたのを覚えている。イルカのデザインと、あの不思議なオパールは忘れられない」
工藤老人は、埃を被ったアルバムを店の奥から持ち出してきた。色褪せた写真の中に、若き日の周五郎と、彼の作品が並んでいる。そして、一枚の写真に三崎は釘付けになった。それは、ブローチのデザイン画だった。イルカの滑らかな曲線、オパールの配置、瞳に嵌める宝石の色まで、精緻に描き込まれている。そのスケッチの隅に、サインがあった。『Design by L.M.』
「L.M.…レオ、かしら」
「ああ、レオさんだ。親父がよく話をしていたよ。ドイツから来た、才能豊かな画家だったそうだ。海の絵を描かせたら、彼の右に出る者はいなかったと。とても情熱的で、それでいて、どこか影のある人だったと聞いている」
工藤老人の話は、核心に触れていった。レオと名乗るその画家は、ある日、一人の日本人女性をアトリエに連れてきた。そして、周五郎にこう依頼したのだという。
「私の全てを、そして彼女への想いの全てを、この一つのジュエリーに封じ込めてほしい」
その女性こそ、三崎の祖母、咲だった。
「レオさんは、このオパールを本国から取り寄せてね。彼はこの石を『恋人の魂』と呼んでいた。見る角度によって色を変えるこの石は、喜びも、悲しみも、情熱も、その全てを内包しているからだと。そして、二頭のイルカ。金のイルカは、太陽のように明るく、気品のある咲さん。プラチナのイルカは、遠い海を渡ってきた自分自身。エメラルドの瞳は、日本の美しい自然と咲さんの生命力を。サファイアの瞳は、自分の故郷の深い海の色と、決して消えることのない彼女への誠実な愛を。そして間のダイヤモンドは、二人が共に過ごした、永遠に輝く時間を表しているんだそうだ」
それは、単なるデザインの説明ではなかった。それは、愛の告白であり、祈りそのものだった。三崎は、ブローチを握りしめた。ひんやりとした金属の感触の奥に、確かな熱が伝わってくるような気がした。祖母・咲と、見知らぬ画家レオ。二人の間に、一体何があったのだろうか。
写真館を出た三崎は、そのまま横浜の港が見える公園のベンチに座り込んだ。海鳥の声が、遠くに聞こえる。祖母は、どんな想いでこのブローチを眺めていたのだろう。そしてなぜ、その存在を家族にひた隠しにしてきたのか。謎は解けるどころか、さらに深まっていく。オパールの奥で揺らめく蒼い炎が、まるで咲の心の叫びのように、三崎の胸を締め付けた。

第二章 咲とレオ

物語は、1930年代の横浜に遡る。
当時の横浜は、異国の文化が混じり合う、活気に満ちた港町だった。良家の娘として、厳格な家庭で何不自由なく育った咲は、しかし、決められた窮屈な人生に、漠然とした息苦しさを感じていた。彼女の唯一の楽しみは、父の書斎に忍び込み、海外の画集を眺めることだった。
ある春の日、咲は、写生のために訪れていた港の見える丘で、一人の異国の青年と出会う。キャンバスに向かうその真剣な眼差し、風に揺れる金色の髪。彼の名は、レオポルド・ミュラー。ドイツから来た画家で、皆からはレオと呼ばれていた。
レオの描く絵は、咲が今まで見たどんな絵とも違っていた。それは、ただ美しい風景を写し取ったものではない。光の揺らぎ、風の匂い、海の持つ荒々しさと優しさ。その全てが、キャンバスの上で激しい生命力となって躍動していた。彼の絵は、咲が心の奥底で感じていた、言葉にならない感情を、鮮やかな色彩で代弁してくれるかのようだった。
二人は、自然に惹かれ合った。咲はレオに日本の美しさを教え、レオは咲に芸術の自由と情熱を語った。彼らは、身分も国籍も超えて、魂で会話していた。密会を重ねる場所は、決まって汐見岬だった。断崖に立つと、遮るもののない雄大な太平洋が広がっている。二人はそこで、未来を語り合った。いつか二人で、ヨーロッパの海を見に行こうと。
だが、幸せな時間は長くは続かなかった。時代は、急速に暗い影を落とし始める。日本とドイツの関係は緊密になっていく一方で、個人としての外国人は、次第に奇異の目で見られるようになっていった。咲の家では、名家との縁談が着々と進められていた。抗うことのできない、大きな時代のうねり。
「咲、僕と一緒に来てくれないか。僕の故郷へ」
ある夜、レオは咲の手を取り、必死に訴えた。だが、咲は首を横に振ることしかできなかった。家族を捨てることも、故郷を裏切ることも、彼女にはできなかった。それは、レオを愛する気持ちと同じくらい、彼女の中に深く根差した、誠実さゆえの決断だった。
別れは、突然やってきた。国際情勢の悪化により、レオに国外退去勧告が出されたのだ。残された時間は、ほとんどない。
最後の夜、二人はいつもの汐見岬で会った。月明かりが、白く砕ける波を照らしている。レオは、小さな紫檀の箱を咲に手渡した。
「君への、僕の魂の全てだ。工藤さんという素晴らしい職人に頼んで、作ってもらった。僕が去っても、これを見れば、僕がいつも君のそばにいると感じられるはずだ」
箱の中には、あのイルカのブローチが輝いていた。オパールは、月の光を受けて、まるで涙のように蒼い炎を揺らめかせている。
「なんて、きれい…」
「金のイルカが君で、プラチナが僕だ。このオパールは、僕たちの心だよ。どんなに離れていても、僕たちの心は、こうして一つだ」
咲は、涙をこらえきれなかった。ブローチを強く握りしめる。これが、愛する人との、永遠の別れだった。
数日後、レオの乗った船が、横浜港を出港した。咲は、人目を忍んで、丘の上から小さくなっていく船影をいつまでも見つめていた。胸には、冷たく輝くイルカのブローチ。それは、決して叶うことのなかった愛の証であり、彼女が生涯をかけて守り通した、たった一つの秘密となった。
やがて咲は、決められた相手と結婚し、子供を産み、貞淑な妻として、優しい母として、その人生を全うした。誰にも、心の奥に燃え続ける蒼い炎の存在を明かすことなく。ブローチは、彼女の心の聖域であり、決して人目に触れさせてはならない、レオとの魂の繋がりそのものだったのだ。

第三章 交差する現在

工藤老人から聞いた話は、三崎の心に大きな波紋を広げた。祖母の知らなかった一面。貞淑で穏やかだと思っていた祖母の胸の内に、そんなにも情熱的な恋の物語が秘められていたとは。三崎は、改めてブローチを手のひらに載せた。これは、単なる形見ではない。一人の女性が、その人生をかけて守り抜いた、愛の結晶なのだ。
もっと知りたい。レオという人物について、そして、その後の彼について。三崎は、『L.M.』というサインと『ドイツ人画家』というキーワードを頼りに、再び調査を始めた。そして、ある海外のアート系SNSで、一枚の絵を見つけた。それは、汐見岬から見たであろう、日本の海の風景画だった。色彩、タッチ、光の捉え方。素人の三崎が見ても、レオが描いたものだと直感的にわかった。そして、その絵の投稿者の名前に、三崎は息を呑んだ。『Kaito Mller』
震える指で、メッセージを送った。祖母のブローチのこと、工藤老人から聞いた話、そして、自分もまたジュエリーデザイナーであることを綴った。返信は、すぐ来た。
『驚きました。祖父、レオポルド・ミュラーの絵を見てくださってありがとうございます。祖父は晩年、故郷のドイツで日本の海の絵ばかり描いていました。祖父の遺品の中に、一人の日本人女性に宛てた、出されることのなかった手紙が何通も残されています。その女性のお名前は、咲さん。もしかして…』
運命が、見えない糸を手繰り寄せるように、二人を引き合わせようとしていた。
海斗(かいと)・ミュラーと名乗るその青年は、海洋生物学者として、日本の大学で研究をしているという。祖父のルーツである日本に惹かれ、数年前に来日していた。週末に、汐見岬で会う約束を交わした。そこは、咲とレオにとって約束の場所であり、今また、その孫である三崎と海斗が初めて顔を合わせる場所になろうとしていた。
約束の日、汐見岬の展望台に、一人の青年が立っていた。潮風に、柔らかな栗色の髪が揺れている。遠い異国の血を感じさせる、彫りの深い顔立ち。だが、その瞳は、どこか懐かしい、穏やかな光を湛えていた。彼が、海斗だった。
「あなたが、三崎さんですね」
「はい。あなたが、海斗さん…」
二人の間に、ぎこちない、しかし温かい沈黙が流れた。眼下には、あの日、咲とレオが見たであろう、雄大な海が広がっている。
海斗は、持参した革のトランクを開けた。中には、古びたスケッチブックと、黄ばんだ封筒の束。レオが遺した、咲への想いの欠片たちだった。
スケッチブックには、在りし日の横浜の風景と共に、微笑む咲の横顔が、何度も何度も、愛情を込めて描かれていた。そして、出されなかった手紙。それは、ドイツに帰国した後も、生涯にわたって咲を想い続けたレオの、痛切な心の叫びだった。
『親愛なる咲へ。元気にしていますか。君と別れて、もう十年になる。僕は今、故郷の小さな港町で、君の国の海ばかり描いている。キャンバスに向かうとき、僕は君と再会できるんだ。あの岬で交わした約束、共に過ごした輝く時間、それだけが、僕を生かしてくれている…』
手紙は、咲の結婚を知った後の苦悩、それでも彼女の幸せを願う誠実な想い、そして、戦争が終わっても、二度と日本の地を踏むことが叶わなかった無念さで締めくくられていた。
「祖父は、生涯独身でした」
海斗が、静かに言った。
「心の中には、いつも咲さんだけがいたのだと思います。この手紙を読んだとき、僕は祖父の人生を縛り付けた、この叶わなかった恋の物語を、少しだけ恨めしく思いました。でも…」
海斗は、三崎の胸元で輝くブローチに目をやった。
「そのブローチを見ると、わかる気がします。二人は、決して不幸だっただけではない。こんなにも美しいものを生み出すほどの、強い愛で結ばれていたんですね」
三崎は、涙が溢れて止まらなかった。祖母が、なぜこのブローチを生涯手放さず、同時に、誰にもその存在を明かさなかったのか。その理由が、痛いほどわかった。これは、祖母だけの、聖なる宝物だったのだ。世間の目に晒すことも、家族に語ることも、その美しい思い出を汚すことになる。だから、自分の心の中だけで、この蒼い炎を、静かに燃し続けていたのだ。
自分のデザインには魂がない、と批評された言葉が、ふと蘇る。魂とは、これほどの想いのことを言うのだろうか。クライアントの顔色を窺い、流行を追いかけるばかりの自分には、到底生み出せない輝き。三崎は、自分の仕事に対して、そして生き方そのものに対して、深いところで何かが変わっていくのを感じていた。

第四章 新しい物語

海斗との出会いは、三崎に大きな変化をもたらした。週末ごとに会っては、互いの祖父母について語り合った。それは、過去を辿る旅であると同時に、三崎と海斗自身が、互いを理解し合うための時間でもあった。海斗の、海の生き物について語るきの、少年のような瞳。三崎の、ジュエリーのデザインについて熱く語る横顔。二人は、祖父母がそうであったように、ごく自然に惹かれ合っていった。
ある日、三崎は実家で、母の百合子にレオの話を打ち明けた。
「おばあ様に、そんな方がいたなんて…」
百合子は、驚きながらも、どこか腑に落ちたという顔をしていた。
「どうりで…。母は、どこか満たされていないような、遠いところを見ているような人だった。父との仲が悪いわけではなかったけれど、夫婦の間に、いつも一枚、薄いガラスがあるような気がしていたの。それが、そういうことだったのね…」
百合子は、初めて母・咲の、一人の女性としての素顔に触れた気がした。それは、母と娘の間に長年横たわっていた、見えないわだかまりが、すうっと溶けていく瞬間だった。
「そのブローチ、おばあ様があなたに遺した意味が、わかる気がするわ。あなたも、自分の心に正直に、情熱的に生きなさいって、そう言っているのかもしれないわね」
母の言葉は、三崎の背中を強く押した。
スランプは、いつの間にか消えていた。三崎の頭の中には、新しいデザインのアイデアが、泉のように湧き上がってくる。それは、咲とレオの物語に触発された、全く新しいコレクションだった。テーマは、『海の約束』。
メインモチーフは、イルカや波、月の光。だが、それは単なる模倣ではなかった。悲恋の物語をなぞるのではなく、そこから受け取った「魂」を、現代を生きる人々のための、新しい愛の形として昇華させる。そんな、力強い意志が込められていた。
三崎は、来るべき国際ジュエリーコンペティションに向けて、デザイン画に没頭した。その中心に据えたのは、もちろん、オパールを使ったブローチ。咲のブローチとは対照的に、二頭のイルカが、離れた場所から互いを見つめ、その間に、オパールでできた大きな月が浮かんでいるデザインだ。離れていても、同じ月を見上げ、心を繋ぐことができる。遠距離の恋人、国境を越えた愛、あるいは、今は亡き大切な人への想い。様々な「離別」を乗り越えようとする、現代の愛の形を表現したかった。
海斗は、そんな三崎を、静かに、しかし力強く支え続けた。夜遅くまで作業する三崎のために夜食を作り、海の研究の合間に、デザインのインスピレーションになるような、美しい海の写真や深海の映像を送ってくれた。
「君のデザインを見ていると、わくわくするよ。それは、ただ美しいだけじゃない。未来への希望が感じられる」
海斗の言葉が、何よりの励みになった。二人の関係は、もはや祖父母の物語の延長線上にはなかった。それは、過去を尊重し、そこから学びながらも、自分たちの足で、自分たちの未来を築いていこうとする、確かなパートナーシップだった。
コンペの最終選考の日。三崎は、胸に祖母のイルカのブローチをつけて、プレゼンテーションに臨んだ。
「このコレクションは、私の祖母の遺した一つのブローチから始まりました。それは、叶わなかった恋の、哀しい物語の証でした。しかし、私はその物語から、哀しみだけではなく、どんな困難な状況にあっても、人を愛し抜く魂の強さを受け取りました。私のジュエリーが、現代を生きる人々にとって、物理的な距離や、時には死という別れさえも乗り越える、心の繋がりを信じるための一助となることを願っています」
三崎の言葉は、力強く、審査員たちの心を揺さぶった。オパールのブローチは、スポットライトを浴びて、まるで三崎の想いに応えるかのように、深く、鮮やかな蒼い炎を放っていた。

終章 蒼き炎の二重奏

結果は、グランプリ受賞だった。三崎のデザインは、「伝統的なモチーフに、極めて現代的で普遍的な愛の哲学を吹き込んだ」と、最高の評価を受けた。授賞式の壇上で、まばゆいフラッシュを浴びながら、三崎は客席にいる海斗と百合子の姿を見つけた。二人は、満面の笑みで拍手を送ってくれていた。
コンペの成功を機に、三崎は独立し、自分のブランドを立ち上げた。ブランド名は、『Re-Blue』。オパールの蒼い炎(Blue)の物語を、現代に再構築(Re)するという意味を込めた。ブランドはすぐに軌道に乗り、三崎は多忙ながらも、充実した日々を送っていた。
一年後の春。三崎と海斗は、再び汐見岬に立っていた。海斗のドイツ栄転が決まり、しばしの別れを前に、二人にとっての始まりの場所を訪れたのだ。
「少しだけ、寂しくなるね」
三崎が言うと、海斗は優しく微笑んだ。
「僕たちの祖父母が経験した別れに比べたら、なんてことないよ。今は、いつでも話せるし、すぐに会いに行ける。僕たちの心は、あの頃よりずっと近くにいられる」
海斗は、小さな箱を三崎に差し出した。中に入っていたのは、シンプルなプラチナのリング。その内側には、小さなオパールが一つ、埋め込まれていた。
「僕のお守りだと思って、持っていてほしい。この石みたいに、僕の心はいつも、君を想って色を変えながら輝いているから」
三崎は、自分のバッグから、同じように小さな箱を取り出した。それは、三崎が海斗のためにデザインした、カフスボタンだった。イルカの尾ひれをモチーフにした、18金とプラチナのコンビネーション。
「私も、あなたに。金のイルカが私で、プラチナがあなた。これからは、このカフスが、あなたのお守りよ」
二人は、顔を見合わせて、笑った。それは、咲とレオの物語をなぞった、感傷的なものではない。彼らの物語への深い敬意を胸に、自分たちだけの、新しい約束を交わしたのだ。
数年後。三崎のブランド『Re-Blue』は、国境を越えて愛される存在になっていた。彼女のデザインするジュエリーは、多くの人々の心に寄り添い、それぞれの「魂の物語」を紡いでいた。三崎の胸には、いつもあのイルカのブローチが輝いている。それはもはや、哀しい過去の遺物ではない。彼女の原点であり、創造の泉であり、そして、時を超えて受け継がれた愛の強さを教えてくれる、誇りそのものだった。
ある晴れた日、アトリエの窓から、柔らかな陽が差し込む。机の上には、新しいコレクションのデザイン画。そしてその傍らには、ドイツから届いた海斗の手紙と、汐見岬の海の写真が置かれている。
三崎は、そっとブローチに触れた。金のイルカとプラチナのイルカ。その瞳のエメラルドとサファイアが、きらりと光る。そして、二頭を繋ぐオパールが、穏やかで、それでいて力強い、蒼い炎を揺らめかせた。
それは、過去からの声と、未来への希望が重なり合う、美しい二重奏。
咲とレオの魂は、時を超え、形を変え、今、ここに生きる二人の心の中で、永遠に輝き続けている。
このブローチが紡いだ物語は、悲劇では終わらない。それは、愛が持つ再生の力を証明する、令和の時代の、希望に満ちたハッピーエンドへと、確かに続いていた。

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