希少・絶版大型図録本『法隆寺 小金銅仏』｜国宝・重要文化財の貴重写真解説 

小金銅仏・仏像・日本美術愛好家必見の一冊。飛鳥・白鳳時代を代表する国宝・重要文化財の小金銅仏をはじめとして、精緻な写真と専門的な解説で収録した希少大型図録です。法隆寺献納宝物「四十八体仏」をはじめ、現存する飛鳥・白鳳期の小金銅仏の多くが集約され、保存状態や造形の特徴まで詳述。オークションにも滅多に出ない貴重な資料本です。

【本の出品です】画像の後に詳細な商品説明を掲載しております。必ず最後までご確認ください。

石田尚豊 著、米田太三郎・辻本米三郎 撮影による貴重写真が特徴。1975年、岩波書店刊行の第1刷-2版。全62ページ、約33×26ｘ1.2cmの大型判で、カラー16ページ＋本文モノクロ、金箔押し布張り上製本・カバー付き。さらに別刷り図版一覧表（経年シミあり）も付属しています。

本書の見どころは、『曼荼羅の研究』で知られる日本を代表する日本の仏教美術史学者、石田尚豊による飛鳥・白鳳時代の小金銅仏研究の核心部分を押さえた詳細な論考テキストと、モノクロ中心ですが迫力ある写真構成。木彫像が少ないこの時代において、金銅仏は量・質ともに最盛期を迎えており、その様式や技法の多様性が一望できます。特に法隆寺をめぐる金銅仏群は、日本上代彫刻史において極めて重要な位置を占める逸品揃いです。

希少大型図録本 法隆寺 小金銅仏 国宝 重要文化財 写真解説 44点　法隆寺献納宝物四十八体仏各図 参考図版38図

石田尚豊　著

米田太三郎/辻本米三郎　写真

岩波書店

1975年第1刷-2

全62ページ

約33ｘ26ｘ1.2cm

カラー16ページ　本文モノクロ

カバー付き、金箔押し布張上製本

※絶版

※別刷りの図版一覧表付き（経年しみあり）

【テキスト論文飛鳥・白鳳時代の小金銅仏 石田尚豊】より一部紹介

　飛鳥・白鳳時代の仏像中、現存する遺品としては、木彫像は少なく、金銅仏が最も多い。しかもその多くが小金銅仏である。その中心をなすのが法隆寺献納宝物(以下, 献納宝物という)中の「四十八体仏」で、現在東京国立博物館内の法隆寺宝物館に陳列されている。このほか法隆寺に伝存するのが本書に収載の金銅仏である。これら法隆寺をめぐる金銅仏群は、現存する飛鳥・白鳳期の金銅仏の大半を占めており、量のみならず質においても、金銅仏最盛期の優品揃いである。しかも保存状態がよく、多種多様な様式・技法の展開が認められ、上代彫刻史上に占める位置はきわめて高い。ここではこれらの金銅仏を中心に、さらに他の主要な作品を含めて、飛鳥・白鳳時代の金銅仏についてのべることとする。なお飛鳥・白鳳の時代区分は諸説あって定めがたいが、一応、仏教公伝より法隆寺罹災までを飛鳥時代とし、それ以降を白鳳時代とする。

　金銅仏研究の糸口 

　飛鳥・白鳳期の金銅仏は、かなり世に知られながらも、その研究にはつぎのごとき隘路がある。

(1)金銅仏中、紀年銘をせん銘したものが少なく、しかも干支で年号をあらわしており、絶対年代を示す基準作例に乏しいため、金銅仏の製作年代の決定はきわめてむずかしい。

(2) 金銅仏中には渡来仏もあり、わが国で造られたものでも、中国・朝鮮の影響を濃厚にうけている。したがって、これらの国の金銅仏と比較すべきであるが、遺品に乏しいため、かなりな距離をおいて様式の脈絡をつけねばならない。

(3) 国内に遺存する金銅仏は、様式・技法が多様であるため、相互の関連が複雑で、 簡単に系統づけられない。

このような困難な条件にもかかわらず、金銅仏に関する多くの研究がなされている。とくに戦後は、中国・朝鮮の彫刻史をふまえた広い視野から、わが国の金銅仏が見直されるようになった。金銅仏の研究は確かに進歩した。しかし何かが欠けているようにも思う。それは有名作品ごとの個別的な考察はあるが、金銅仏群を総体的に捉えようとする試みは、案外なされていないように思われる。そこで本書においては、絡み合った幾条もの糸を、あれこれといろいろな角度から摘まんでは離し、次第に続れを解きほぐすように、様式のみならずさまざまな要素を加えながら、なるべく多角的に捉えようと試みてみた。ゆきづまれば「金銅仏はどうして造るのか」という、 まことに素朴な疑問に立ち帰り、素材や道具・意匠の隅々を逐一追いなおしてゆくことにした。このような観点から、まず簡単な金銅仏の製作法の認識が必要と思われる。つぎに金銅仏群を、共通の要素をもつ十のグループに分ち、それぞれ様式を主体にし、鋳造法・彫技・銘文など、さまざまな要素を絡み合わせながら、有機的に捉えようと努めた。（以下略）

【作品解説】より一部紹介

菩薩立像 重要文化財 飛鳥時代(7世紀) 銅造 鍍金 像高 56.7 cm

本像は止利派の系統の作品で、法量も大きく、金堂釈迦三尊像の脇侍像に最も近い。しかし顎を張り、鼻翼には盤を入れず、鼻孔面をかすかにくぼませ、耳を冠帯で隠し、爪に強い霊を入れないなど、 脇侍像との相違が認められる、宝冠はC字形文を連続させながら、 上部に日月,両脇に鳥翼を配するなど、ササーン系王冠の流れを汲頭が大きく体の肉づけが単調で、膝前で交差する衣文もゆるやかに垂れ、左右に突出する鰭状の天衣にも張りがない。全体的にみて、脇侍像のごとき強靭な律動感に乏しく、静止した重厚感があるのは、その製作が脇侍像より遅れることを示すものであろう。

釈迦如来及び脇侍像 重要文化財 飛鳥時代(7世紀) 銅造 鍍金 像高 一中尊16.7cm 左脇侍13.6cm

裏面に戊子年銘(推古36年 [628])のある舟形光背を負う一光三尊形式の像で、右脇侍を欠く、中尊は金堂釈迦像にきわめて類似するが、 螺髪は賽の目に刻出され、耳の形にも崩れがあり、全面に明確な強い霊を入れないため、表情も穏やかで、膝や懸裳の輪郭や衣文にも張りがみられない。その面貌は釈迦三尊光背の化仏に近似するが、 衣文や台座の鋭い張りはなく、造形感覚には相違がある。左脇侍の細部は簡略化されているが、釈迦三尊脇侍の形式を追う。頭頂より台座にいたるまで一鋳で、背面の造形は省略され、その鍍金された凹面には朱が残るが、錆止め以外の宗教的意味が伏在するのであろうか。光背には文様・化仏を毛彫りし、裏面には造像銘を陰刻している。八葉の複弁蓮華文を中心に、円と菱形の交互文様をめぐらす。 そのまわりに獣首の吐く雲気文帯があるが、これを光背に用いた例は珍しい。外周は旭竜文系火文に五化仏を配する。

ほか

【目次】

＜カラー＞

菩薩像 全像

釈迦如来及び脇侍像（戊子年） 全身

釈迦如来及び脇侍像（同上） 全像

観音菩薩像（伝金堂薬師如来脇侍・月光菩薩） 全像

観音菩薩像（同上） 頭部

観音菩薩像（伝金堂薬師如来脇侍・日光菩薩） 全像

観音菩薩像（同上） 頭部

観音菩薩像（夢違観音） 全身

観音菩薩像（同上） 上半身

観音菩薩像（伝金堂阿弥陀如来脇侍） 七分身

観音菩薩像（同上） 頭部

阿弥陀三尊像（伝橘夫人念持仏） 全像

阿弥陀三尊像（同上） 後屏 部分

光背形（獅子力士毛彫） 部分

阿弥陀三尊及び二比丘像（結業） 全像

薬師如来像（伝峰薬師胎内仏） 全像

＜モノクログラビア＞

菩薩像 全像

菩薩像 上半身

釈迦如来像（戊子年銘） 全身

釈迦如来像（同上） 上半身

釈迦如来像 脇侍（同上） 七分身

釈迦如来像（同上） 光背部分

観音菩薩像（伝金堂薬師如来脇侍・月光菩薩） 全像

観音菩薩像（伝金堂薬師如来脇侍・日光菩薩） 全像

観音菩薩像（公金堂薬師如来脇侍・月光菩薩） 体部

観音菩薩像（伝金堂薬師如来脇侍・日光菩薩） 体部

観音菩薩像 全像（2点）

観音菩薩像（夢達観音） 全身

観音菩薩像（同上） 頭部

観音菩薩像（同上） 背面

観音菩薩像（同上） 全身

観音菩薩像（伝金堂阿弥陀如来脇侍） 全像

観音菩薩像（同上） 背面

阿弥陀三尊像（伝橘夫人念持仏） 全像（2点）

阿弥陀三尊像 中尊（同上） 頭部

阿弥陀三尊像 中尊（同上） 全身

阿弥陀三尊像 右脇侍（同上） 全像

阿弥陀三尊像 左脇侍（同上） 全像

阿弥陀三尊像（同上） 後屏

阿弥陀三尊像（同上） 運池

光背形（獅子力士毛彫） 部分

光背形（同上）

三尊像（鋳出）

別刷 四十八体仏（法隆寺献納宝物）47図

＜テキスト＞モノクロ参考写真図版38図

飛鳥・白鳳時代の小金銅仏 石田尚豊

金銅仏研究の糸口 止利派をめぐって 宝珠棒持像 麻耶夫人像 痩身菩薩半跏像 観音菩薩立像 菩薩像群 阿弥陀三尊像 童子形像 随様 台座と古瓦  

【著者について】

石田尚豊　

1922年東京都に生まれる。日本の美術史学者。専門は日本仏教美術史。

　東京大学国史学科卒業。東京国立博物館資料課長を経て、青山学院大学教授。文学博士。

主な著書に『密教画』(至文堂)、『曼荼羅の研究』(1978年日本学士院賞受賞)、『両界曼荼羅の智慧』などがある。

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