龍馬（竜馬）像の原点をつくった伝記小説。「汗血千里の駒 坂本龍馬君之伝」です。坂崎紫瀾；作／林原純生；校注。岩波文庫。528ページ。状態は未使用に近く、非常に良好です。送料はクリックポストで185円です（※クリックポストには、厚め [梱包厚を含めて厚さ2～3cm程度] の文庫本は、重さ合計1㎏を超えない範囲で、計2～3冊程度同梱可能です）。

★内容：　龍馬暗殺から16年 ― 維新の記憶も新しい明治16年、地元高知の新聞に連載された最初の伝記小説。自由民権の志士、坂崎紫瀾の勢いある文体からは激動の時代の空気が迸る。現代に至るまでさまざまなメディアで描かれるヒーロー坂本龍馬像の原点。評判を呼んだ連載当時の挿絵66点を全点収録し、詳細な注・人名一覧を付す。

　本書『汗血千里の駒』は，今にいたるまで小説や演劇、映画などさまざまな形でおびただしく再生産される坂本龍馬を主人公とした最初の小説である。自由民権運動のさなかの明治16年という時点で発表された本書は、後の龍馬を主人公にした歴史小説に長く影響を与えることになるが、それにしても明治16年という早い時点でかくも見事に坂本龍馬の自由人としての個性が表現されたことは、一つの驚きでもある。坂本龍馬の記憶が生きており、もと海援隊の人々がまだ存命であったので、聞き書きなどで龍馬の人物造形がなされたことは本書を読めば理解できるが、当時まだ近代小説は文学史には登場しておらず、幕末や明治維新を素材にした多くの大衆小説、歴史小説が流行するのは、遠く後の大正・昭和なのである。本作品はそれらの先駆的作品であり原点ともなっている。（林原純生「解説」より）

★著者、坂崎紫瀾（さかざき しらん、1853 - 1913年）は明治期のジャーナリスト、講談師、小説家、歴史研究者、自由民権運動家。土佐藩医を父に江戸・土佐藩邸で生まれ、土佐藩校致道館で学ぶ。明治維新の後、旧藩校教官、ギリシャ正教の大教院の『教会新聞』記者、司法省出仕などを経て、『松本新聞』主筆となり、国会の開設や藩閥政治の打破、男女同権論、普通選挙実施など自由民権運動に則した論陣を張った。その後も『高知新聞』主筆を務めるなど、生涯で多くの新聞に関わった。著書に広く読まれた『汗血千里駒』のほか、『勝伯事跡開城始末』、『鯨海酔侯』などがある。

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