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F2780 【珠玉金襴】石黒光南作 徳力 金蘭の香、時を超えて 純金香合 115.74g 伽羅沈香用 竹意匠 K24 資産価値 伝統工芸拍卖
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F2780 【珠玉金襴】石黒光南作 徳力 金蘭の香、時を超えて 純金香合 115.74g 伽羅沈香用 竹意匠 K24 資産価値 伝統工芸
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F2780 【珠玉金襴】石黒光南作 徳力 金蘭の香、時を超えて 純金香合 115.74g 伽羅沈香用 竹意匠 K24 資産価値 伝統工芸
商品编号:f1186059829 【浏览原始网页】
商品件数:1
商品成色:其他
日本邮费:买家承担
可否退货:不可以
开始时间:2025-07-24 03:41:56
结束时间:2025-07-30 23:15:35
自动延长:有可能
提早结束:有可能
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タイトル:
【珠玉金襴】石黒光南作 徳力 純金香合 115.74g 伽羅沈香用 竹意匠 K24 資産価値 伝統工芸
ご覧いただき誠にありがとうございます。
まさに【珠玉金襴(しゅぎょくきんらん)】と呼ぶにふさわしい、眩い輝きを放つ逸品、金工作家として名高い石黒光南氏が手がけた、徳力製の純金香合をご紹介いたします。
【商品の特徴】
  • 圧倒的な純金の存在感: 重量115.74g。手に取るとずっしりとした重みがあり、純金ならではの山吹色の輝きが空間を豊かに彩ります。
  • 名匠・石黒光南作: 金工芸の世界で高い評価を受ける石黒光南氏の作品。その確かな技術と芸術性が細部にまで息づいています。
  • 縁起の良い竹の意匠: 蓋には、風にそよぐ竹の葉が繊細かつ力強く彫り描かれています。竹は古来より成長、繁栄、清浄の象徴とされ、その清々しい姿は日本人に深く愛されてきました。光の当たり方で表情を変える彫りは、まさに芸術品です。
  • 最高級の香木のために: 伽羅や沈香といった貴重で高価な香木を納めるにふさわしい、品格と実用性を兼ね備えた香合です。大切な香りを守り、その価値を一層高めます。
  • コンパクトで携帯至便: 洗練されたコンパクトなデザインは、書斎や茶室でのご使用はもちろん、大切な香りを携帯する際にも最適です。特別な場所、特別な時間に、最上の香りをお楽しみいただけます。
【資産としての価値】
「インフレに最強」とも称される純金は、いつの時代も変わらぬ価値を持つ実物資産です。この香合は、美術品としての価値に加え、純金そのものの価値も有しており、コレクションとしてだけでなく、資産防衛の一環としても大変魅力的なお品です。
【香合の歴史と文化】
香合は、古くは奈良時代から存在し、香道や茶道において香を保存し、その場を清め、精神を集中させるための重要な役割を担ってきました。単なる道具としてではなく、持ち主の美意識や教養を映し出す美術工芸品として、時代を超えて愛され続けています。この純金香合もまた、日本の豊かな精神文化と高度な金工技術が融合した、後世に伝えたい逸品と言えるでしょう。
【特別オプション】
ご希望の方には、人間国宝を目指す熟練の金工師による仕上げ直しもオプションにて承ります。百貨店で新品として陳列されるレベルにまで丁寧に磨き上げ、その輝きと美しさを最大限に引き出すことが可能です。(※仕上げ直しにより、重量が若干変動する場合がございます。詳細はお問い合わせください。)
この【唯一無二(ゆいいつむに)】の純金香合が、あなたのコレクションに、そして人生に、豊かな彩りと確かな価値をもたらすことを願っております。
どうぞこの機会にご検討くださいませ。

以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです〜〜

タイトル:金蘭の香、時を超えて
第一章:琥珀色の誘い
神崎葵(かんざき あおい)、二十八歳。古美術修復士として、京都の片隅にある小さな工房で黙々と筆を走らせる日々。彼女の手元には、祖母の形見である小さな純金の香合があった。直径わずか数センチの円い器。蓋には、風にそよぐような竹の葉が、繊細かつ力強く、まるで生きているかのように彫り込まれている。その輝きは、幾星霜を経てもなお色褪せることなく、見る者の心を捉えて離さない。葵はこの香合に触れるたび、遠い記憶の欠片のような、懐かしくも切ない感覚に包まれるのだった。
「おばあ様、この香合には、どんな物語が隠されているの……」
幼い頃、病床の祖母はかすれた声で語ってくれた。これはただの金ではない、特別な想いが込められた「魂の器」なのだと。そして、いつか葵が本当にこの香合を必要とする時が来たら、その意味が分かるとも。
その日、葵は依頼された古い屏風の修復を終え、いつものように香合を手に取った。工房に満ちる絵の具と膠(にかわ)の匂いとは異なる、清澄な気配が香合から漂ってくるような気がした。指先で竹の葉の彫りをなぞる。その瞬間、工房の窓から差し込んでいた夕陽が、まるで意志を持ったかのように香合に集まり、一点で強烈な琥珀色の光を放った。
「きゃっ!」
目を開けられないほどの眩い光。葵は思わず香合を握りしめ、目を閉じた。工房の喧騒が遠のき、代わりに馬のいななき、鎧の擦れる音、そして人々の怒声とも鬨の声ともつかない雄叫びが鼓膜を震わせた。何が起こったのか。恐る恐る目を開けると、そこは工房ではなかった。
土埃が舞い、血の匂いが鼻をつく。周囲には、時代劇でしか見たことのない甲冑姿の武士たちが、刀を抜き放ち、激しく斬り結んでいた。ここは……戦場?
葵はあまりの状況変化に声も出せず、その場にへたり込んだ。握りしめていた香合が、手のひらでかすかに温かい。
「女がいるぞ!どこの手の者だ!」
鋭い声と共に、泥と血に汚れた武者が葵に気づき、太刀を振り上げた。死を覚悟した葵が目を固く閉じたその時、一陣の風が吹き、武者の動きが止まった。
「待て。その女子、何やら様子がおかしい」
凛とした、それでいてどこか甘さを帯びた声。葵が顔を上げると、そこには月桂樹の若木のようにしなやかで、それでいて猛禽を思わせる鋭い眼光を持つ若武者が立っていた。年の頃は葵と同じくらいだろうか。その顔立ちは端正だが、戦場の狂気が微かに影を落としている。彼は、葵が握りしめる純金の香合に目を留めた。
「その香合……見せてもらえぬか」
若武者の声には、有無を言わせぬ力があった。葵は震える手で香合を差し出す。彼はそれを受け取ると、陽光にかざし、竹の意匠を食い入るように見つめた。その表情は驚愕と、そして微かな期待に彩られているように見えた。
「この竹の紋……まさか……。おぬし、何者だ?どこから参った?」
葵は声が出ない。ただ、首を横に振るのが精一杯だった。若武者は、名を伊達政宗(だて まさむね)と名乗った。後に奥州の覇王と呼ばれる独眼竜、その若き日の姿だった。政宗は、葵の異様な身なりと、あまりにも場違いな存在感に困惑しながらも、彼女が持っていた香合に強く惹かれていた。
「そなたのことは、追って詮議する。今は我が陣へ参れ」
政宗の命で、葵は彼の本陣へと連行された。陣幕の中は、外の喧騒とは打って変わって静まり返っていたが、張り詰めた空気は同じだった。政宗は側近である片倉小十郎景綱(かたくら こじゅうろう かげつな)に、葵の素性を探るよう命じた。
小十郎は、政宗より幾分年上に見える、冷静沈着な武将だった。射るような視線で葵を観察し、いくつか質問をしたが、葵は自分が未来から来たなどとは到底言えず、記憶を失ったと嘘をついた。
「殿、この女子、言葉は通じますが、出自は不明。しかし、あの香合は……」
小十郎が言い淀むと、政宗は頷いた。
「うむ。我が伊達家に伝わる、幻の香合の言い伝えに酷似しておる。竹の意匠、そして純金の輝き……。もしや、これが我が運命を切り開く鍵となるやもしれぬ」
政宗は、天下統一の野望を胸に秘めていた。そして、その野望を支える精神的な柱として、彼は「香り」に注目していた。特に、時の権力者である徳川家康が伽羅(きゃら)を大層好み、その香りを力の象徴としていたことに、政宗は強い憧れと対抗心を抱いていた。
「家康公は、遠く安南(あんなん)の地より伽羅を取り寄せ、その香りで諸大名を圧倒するという。我もまた、最高の伽羅を手に入れ、この日ノ本に伊達の名を轟かせたい。そのためには、まず相応しい香合が必要だ」
家康に憧れる戦国武将たちは、競ってベトナムの大王に使者を送り、伽羅を輸入しようとしていた。伽羅は金と同等、あるいはそれ以上の価値を持つ至宝。そして、その伽羅を納める香合もまた、持ち主の権威と美意識を示す重要な道具だった。
葵の持つ香合は、政宗にとってまさに天啓のように思えた。彼は葵を自分の側に置き、香合の秘密を探ろうと決意する。
その夜、葵は政宗の陣の一角に用意された粗末な寝床で、眠れぬ夜を過ごしていた。見知らぬ時代、見知らぬ人々。そして、自分の運命を左右するかもしれない純金の香合。
ふと、陣幕の外から話し声が聞こえてきた。政宗と小十郎の声だ。
「小十郎、あの女子の香合、やはりただならぬものがある。あの竹の葉の彫り、どこかで見たような気がするのだ」
「はっ。あるいは、古き伝承に繋がるものやもしれませぬ。警戒は怠りませぬが、もし殿のお役に立つのであれば……」
葵は息を殺して聞き耳を立てた。香合の竹の意匠。それは、祖母が「大切な道しるべ」だと言っていたものと関係があるのだろうか。
突然、陣幕が静かにめくられ、月明かりを背に人影が立った。政宗だった。彼は音もなく葵のそばに近づき、その寝顔をじっと見つめた。戦の興奮がまだ冷めやらぬのか、彼の瞳は爛々と輝き、その息遣いは荒い。
「おぬしは、何者なのだ……。天が我に遣わした天女か、それとも……」
政宗の手が、葵の頬にそっと触れた。その指先は武具に慣れた硬さを持ちながらも、どこか優しさを秘めている。葵は驚きと羞恥で身を固くしたが、なぜか彼の指を拒むことができなかった。彼の瞳の奥に、孤独と、そして何かを渇望するような熱い想いが見えたからだ。
「この香合が、我を導くというのか……」
政宗はそう呟くと、葵の唇に、まるで確かめるかのように自らの唇を重ねた。それは荒々しいものではなく、むしろ戸惑いと探求心に満ちた、静かな口づけだった。戦場の血と鉄の匂いの中に、微かに政宗自身の汗と、そして彼が焚きしめているであろう白檀の香りが混じり合い、葵の意識をくらませる。
葵は、これが夢なのか現実なのか判断がつかないまま、ただその温かい感触に身を委ねていた。純金の香合が、二人の間で再び琥珀色の微光を放ったのを、葵は確かに感じた。それは、これから始まる長い物語の、ほんの序章に過ぎなかった。


第二章:揺れる想い、伽羅の幻影
政宗との思いがけない口づけの後、葵の心は千々に乱れていた。未来から来たという途方もない秘密を抱え、いつ元の時代に戻れるのかも分からない不安。そして、政宗という強烈な個性に触れ、抗いがたい力で惹きつけられている自分。
翌日から、葵は「記憶喪失の客人」として、伊達の陣中で丁重に扱われるようになった。しかし、その視線は常に監視と好奇にさらされていた。特に、政宗の側室候補と噂される愛姫(めごひめ)の侍女、楓(かえで)の目は厳しかった。楓は、政宗が葵に特別な関心を寄せていることを見抜き、嫉妬と警戒心を露わにしていた。
政宗は多忙な軍務の合間を縫っては葵の元を訪れ、香合について、そして葵自身について探るような会話を重ねた。
「葵とやら。そなた、文字は読めるか? 香の知識はあるか?」
「はい、少しは……。祖母から教わりました」
葵は現代の知識を隠しながら、当たり障りのない範囲で答えた。政宗は、葵が時折見せる未来の知識や価値観に驚きつつも、それを彼女の特異な出自によるものと解釈し、ますます興味を深めていく。
ある日、政宗は葵を伴い、陣外れの小高い丘へ登った。眼下には、これから彼が切り取ろうとしている広大な土地が広がっている。
「葵、見えるか。あの一帯全てを、我が伊達の旗で埋め尽くす。そのためには、力だけでは足りぬ。徳川家康公がそうであるように、文化の力、香りの力もまた、人を惹きつけ、国を治める礎となるのだ」
政宗は、家康が所有するという伝説の伽羅「蘭奢待(らんじゃたい)」の一部を拝領した際の逸話を熱っぽく語った。その香りは天下人の証であり、それを嗅いだ者は家康の威光にひれ伏したという。
「我が求めるは、蘭奢待にも劣らぬ至高の伽羅。そして、その香りを永遠に留める、この香合のような器だ」
政宗の瞳は、野望と純粋な憧憬で燃えていた。葵はその横顔を見つめながら、彼の夢を応援したいという気持ちと、この時代にいてはいけないという焦りが交錯するのを感じた。
そんな中、京から一人の男が政宗の陣を訪れた。堺の豪商、呂宋助左衛門(るそん すけざえもん)の手代と名乗る男で、名を了観(りょうかん)という。了観は、政宗が探し求める極上の伽羅の情報を携えてきた。
「伊達様。我が主、助左衛門が、安南の王より特別なルートで伽羅を入手する手筈を整えましてございます。ただし、その代償は莫大。金千両と、さらに……」
了観は言葉を濁し、ちらりと葵に視線を送った。その視線には、品定めするような嫌らしい光が宿っていた。
「さらに、何だ」
「はっ。その……そちらにおわすお嬢様を、一夜、我が主のもとへ……と」
政宗の顔色が変わった。握りしめた拳が白くなる。
「戯言を申すな! 我が客人を何と心得るか!」
了観は平伏しながらも、冷ややかに言い放った。
「伊達様とて、伽羅のためなら多少の犠牲は厭わぬはず。この伽羅は、まさに天下を左右する逸品。ご再考を」
その夜、政宗は荒れていた。酒を呷り、側近の小十郎に当たり散らした。
「あの商人め、我を足元見おって! だが、伽羅は欲しい……! 葵を……あのような男に……」
政宗は苦悶の表情で、葵のいる陣幕に目をやった。葵はその様子を息を殺して聞いていた。自分のために、政宗がどれほど葛藤しているのか。そして、自分があの男の手に渡れば、政宗は伽羅を手に入れられるかもしれないという事実に、胸が締め付けられた。
葵は意を決して、政宗の前に進み出た。
「政宗様。私を……お使いください」
「葵!何を言うか!」
政宗は驚き、葵の肩を掴んだ。その力は強いが、震えているのが分かった。
「伽羅は、政宗様の夢でしょう? 私が……私で役に立てるなら……」
葵の瞳には涙が浮かんでいた。それは自己犠牲の悲しみだけではなく、政宗への想いがそうさせていることを、彼女自身も気づき始めていた。
政宗は葵の言葉に、さらに激しく心を揺さぶられた。この純粋な娘を、汚れた取引の道具にはできない。しかし、伽羅への渇望もまた、彼を苛んでいた。
「ならぬ。おぬしをそのような目に遭わせるくらいなら、伽羅など要らぬ!」
政宗は叫び、葵を強く抱きしめた。鎧越しの硬い感触と、彼の荒い息遣い、そして汗と白檀の香りが、再び葵を包み込む。それはあの夜の口づけよりもずっと切実で、激しい感情の奔流だった。
「葵……おぬしは、何者なのだ。なぜ、これほどまでに我が心を乱す……」
政宗の腕の中で、葵は声を殺して泣いた。彼の温もりが、絶望的な状況の中で唯一の救いのように感じられた。
その時、小十郎が静かに進み出た。
「殿、葵殿。お待ちくだされ。了観の申し出、あるいは裏があるやもしれませぬ」
小十郎は、了観の態度に不審な点を感じていた。あまりにも都合の良い話、そして葵への執着。彼は密かに配下の忍びに了観の素性を探らせていたのだ。
数日後、小十郎の元に衝撃的な報告がもたらされた。了観は呂宋助左衛門の手代などではなく、政宗と敵対する相馬氏に通じる間者であり、伽羅の話は政宗をおびき出すための罠だったのだ。そして、葵の持つ純金の香合こそが、彼らの真の狙いである可能性が高いという。
「やはり……。葵の香合には、何か特別な力が……」
政宗は唇を噛んだ。敵は、香合そのものか、あるいは香合が示す何かを狙っている。葵の身が危険に晒されていることは明らかだった。
政宗は決断した。罠と知りつつ、了観の誘いに乗る。しかし、それは伽羅を手に入れるためではなく、葵を守り、敵の真の目的を暴くためだった。
「葵、すまぬ。おぬしを危険な囮として使うことになるやもしれぬ。だが、必ず守り抜く。信じてくれ」
政宗の真剣な眼差しに、葵は頷いた。彼の瞳の奥には、もはや野心だけでなく、葵への確かな情愛が宿っているように見えた。
約束の日、了観が指定した山中の廃寺へ、政宗は少数の手勢と、そして葵を伴って向かった。廃寺は不気味な静寂に包まれ、伽羅の香りどころか、黴と腐臭が漂っている。
案の定、それは罠だった。廃寺の周囲には相馬の兵が伏せられており、了観が合図と共に本性を現した。
「伊達政宗、もはや逃げ道はないぞ!大人しくその女子と香合を差し出せば、命だけは助けてやろう!」
了観の卑劣な笑い声が響く。政宗は刀を抜き放ち、葵を背後にかばった。
「笑止! この伊達政宗、卑怯な罠に屈すると思うか!」
激しい戦闘が始まった。数では劣る伊達勢だったが、政宗の勇猛さと小十郎の的確な指揮で、互角以上に渡り合う。しかし、敵は次々と湧き出てくる。
葵は、自分のせいで政宗たちが危険な目に遭っていることに胸を痛めながらも、ただ震えていることしかできない。その時、一人の敵兵が政宗の死角から斬りかかろうとした。
「危ない!」
葵は咄嗟に叫び、政宗の背中を突き飛ばした。政宗は体勢を崩したが、敵の刃は辛うじて避ける。しかし、その隙に別の敵兵が葵に襲いかかった。
「葵!」
政宗の悲痛な叫び。葵は目を閉じた。その瞬間、握りしめていた純金の香合が、再び熱を帯び、強い光を放った。光は廃寺全体を包み込み、敵兵たちは眩しさに目をくらませて動きを止める。
そして、光が収まった時、葵と政宗、そして小十郎の姿は、廃寺から忽然と消えていた。残されたのは、呆然とする相馬の兵たちと、床に落ちた一枚の竹の葉の形をした金の欠片だけだった。


第三章:金色の導き、菩提寺の秘密
眩い光が収まった時、葵、政宗、そして小十郎は、見知らぬ森の中に立っていた。先ほどまでの廃寺の黴臭さとは違う、清浄な木の香りが満ちている。
「ここは……どこだ? 敵の姿が見えぬ」
政宗は刀を構えたまま、警戒を解かない。小十郎も周囲を鋭く観察している。葵は、まだ手のひらに残る香合の温もりを感じながら、呆然としていた。またしても、香合が不思議な力を発揮したのだ。
「葵、大丈夫か?」
政宗が葵の肩に手を置く。その声には、安堵と心配が滲んでいた。
「はい……。香合が、また……」
三人は森の中を慎重に進んだ。しばらく行くと、古びてはいるが、荘厳な雰囲気を持つ山門が見えてきた。山門には「長谷寺(ちょうこくじ)」と記された扁額が掲げられている。
「長谷寺……聞いたことがない寺だ。相馬の領地ではないはずだが」
小十郎が訝しげに呟く。寺の境内は静まり返り、人の気配はなかった。しかし、本堂の方から、微かに伽羅の香りが漂ってくるのを葵は感じ取った。それは、今まで嗅いだことのない、深く、甘く、そしてどこか懐かしい香りだった。
「この香り……まさか……」
葵は導かれるように本堂へ向かう。政宗と小十郎も後に続いた。本堂の中は薄暗かったが、正面に安置された大きな仏像と、その手前に置かれたひとつの厨子(ずし)が目に入った。厨子は黒漆塗りで、金の金具が施されている。そして、その厨子から、あのえもいわれぬ伽羅の香りが強く漂ってきていた。
「この香りは……まさしく極上の伽羅……!」
政宗は息を呑んだ。彼が長年追い求めてきた香りが、今、目の前にある。
その時、本堂の奥から一人の老僧が静かに現れた。年の頃は七十を過ぎているだろうか。穏やかな表情だが、その瞳の奥には深い知恵が宿っているように見える。
「お待ちしておりましたぞ、伊達の若君、そして……時を超えし娘御」
老僧の言葉に、三人は驚愕した。なぜ自分たちのことを知っているのか。そして、「時を超えし娘」とは、葵のことか。
「和尚、我々のことをご存知で?」
政宗が問いかけると、老僧は静かに頷いた。
「わしは、この長谷寺の住職、天海(てんかい)と申します。この寺は、伊達家とは浅からぬ因縁がございます。そして、そちらの娘御の持つ香合もまた……」
天海と名乗る老僧は、ゆっくりと語り始めた。この長谷寺は、かつて伊達家の菩提寺の一つであり、政宗の祖先にあたる人物が、未来に現れるであろう「竹の紋を持つ者」のために、あるものを託したのだという。
「それが、あの厨子に納められし伽羅『東大寺(とうだいじ)』にございます」
天海が指差した厨子。その中には、かの有名な「蘭奢待」と並び称される伝説の伽羅「東大寺」が納められているというのだ。この伽羅は、元は聖武天皇ゆかりの品で、時の権力者の手を転々とし、ある時、伊達家の祖先が命がけで守り抜き、この寺に奉納したのだという。
「そして、その伽羅のありかを示す鍵こそが、娘御の持つ純金の香合。その竹の葉の意匠は、この長谷寺の庭に生える特別な竹林と、伽羅の隠し場所を示しておったのです」
葵は自分の香合を見つめた。祖母が言っていた「大切な道しるべ」とは、このことだったのか。そして、この長谷寺こそが、香合が導く場所だったのだ。
「では、あの廃寺での出来事も……?」
「左様。香合が、危機を察知し、おぬしらをこの長谷寺へと転移させたのでしょう。それは、この伽羅『東大寺』を、正当な継承者である伊達の若君と、それを見守る娘御に託すため……」
天海は、徳川家康が伽羅を大層好み、その権威を誇示するために用いた話、そして、家康に憧れる多くの戦国武将が競ってベトナムの大王から伽羅を輸入しようとした当時の状況を語った。
「家康公は、戦の前に必ず伽羅を焚きしめ、精神を集中させ、勝利を祈願したと伝えられております。その香りは、兵たちの士気を高め、敵には恐怖を与えたとか。伽羅は、単なる香木にあらず。持つ者の魂を映し、力を与える霊木なのでございます」
そして天海は、驚くべき事実を告げた。
「この伽羅『東大寺』の一部は、かつて家康公が所有していたものと同じ原木から切り出されたもの。そして、その価値は……現在の世で申せば、数百億にもなると言われております」
数百億。その言葉に、政宗も小十郎も息を呑んだ。それは、伊達家の財政を立て直し、彼の野望を大きく後押しするに足る価値だった。
「しかし、この伽羅は金銭的価値だけではございませぬ。伊達家の守り神であり、また、日ノ本の平和を願う心が込められております。若君、この伽羅を、正しき道のためにお使いくだされ」
天海は深々と頭を下げた。政宗は、目の前にある伽羅と、葵の持つ香合、そして天海の言葉を噛み締めていた。これは、単なる偶然ではない。天命なのだと。
「和尚、ありがたく頂戴いたします。この伽羅と香合に込められた想い、必ずや受け継ぎ、伊達家の、そして日ノ本の未来のために役立てることを誓います」
政宗は力強く宣言した。その顔には、もはや若き日の焦りはなく、確固たる決意と指導者としての威厳が備わっていた。
その夜、葵は天海から、香合にまつわるさらなる秘密を聞かされた。この香合は、伊達家の祖先が、未来の「特別な魂を持つ娘」と、その娘を愛する「伊達の血を引く者」を結びつけるために作らせたものだという。
「娘御、おぬしは、この時代に来るべくして来たのです。そして、若君との出会いもまた、定められた運命……」
天海の言葉は、葵の胸に深く染み入った。政宗への想いは、もはや抑えようもなく高まっている。しかし、自分は未来の人間。いつか帰らねばならない。その事実が、喜びと共に切なさを伴って葵の心を締め付けた。
月明かりが差し込む縁側で、葵は一人、香合を見つめていた。すると、背後から政宗が近づいてきた。
「葵、眠れぬのか」
「政宗様……」
二人の間に、静かな時間が流れる。政宗は葵の隣に座ると、彼女の手から香合をそっと取り上げた。
「この香合が、おぬしを我のもとへ連れてきてくれたのだな。そして、この伽羅も……。おぬしは、我が伊達家にとって、まさに天女だ」
政宗の指が、香合の竹の葉の彫りを優しくなぞる。そして、その指は葵の指に触れ、絡み合った。
「葵……」
政宗の声は熱を帯び、彼の瞳は月光を反射して妖しく輝いていた。彼は葵の顔を両手で包み込み、ゆっくりと顔を近づける。今度の口づけは、あの夜の戸惑いに満ちたものでも、戦場での激しいものでもなかった。それは、互いの魂が触れ合うような、深く、そしてどこまでも優しいものだった。
伽羅の香りが、二人の間に満ちていく。それは官能的でありながらも神聖な香りで、葵の理性を溶かしていくようだった。政宗の腕が葵の腰を強く抱き寄せ、彼の唇は葵の首筋へと移っていく。熱い吐息が肌にかかり、葵の身体は甘い痺れと共に震えた。
「政宗様……だめ……」
かろうじて紡ぎ出した言葉は、しかし何の抵抗力も持たなかった。政宗は葵の着物の合わせに手をかけ、その白い項(うなじ)に、そして柔らかな肩に、愛しむように唇を寄せた。それは、決して強引なものではなく、むしろ葵の反応を確かめるかのような、繊細な愛撫だった。
葵は、このまま政宗に身を委ねてしまいたいという強い衝動と、未来へ帰らねばならないという現実の間で激しく揺れ動いた。涙が頬を伝う。それは喜びの涙か、悲しみの涙か、葵自身にも分からなかった。
「泣いているのか、葵……」
政宗は葵の涙に気づき、動きを止めた。その瞳には、深い苦悩と、そして抑えきれないほどの愛情が浮かんでいた。
「すまぬ……我は、おぬしを……」
その時、葵が握りしめていた純金の香合が、ひときゆ強く、しかし穏やかな光を放った。それは、まるで二人の激情を鎮めるかのような、優しい光だった。


第四章:時を超えた絆、金蘭の誓い
香合が放った穏やかな光は、政宗の激情を鎮め、葵に冷静さを取り戻させた。二人はしばし見つめ合ったまま、言葉を失っていた。伽羅の香りが、静かに二人を包み込んでいる。
「葵……やはり、おぬしは……」
政宗は何かを言いかけたが、言葉を飲み込んだ。彼は葵の涙をそっと拭い、彼女から少し身を離した。そこには、先程までの熱情とは違う、深いいたわりと理解の表情があった。
「我々は、運命に導かれて出会った。そして、この伽羅と香合は、その証だ。だが、おぬしにはおぬしの帰るべき場所があるのかもしれぬな」
政宗の言葉は、葵の胸を鋭く突いた。彼は、葵がこの時代の人間ではないことを、薄々感じ取っていたのかもしれない。
「政宗様……私は……」
葵が真実を告げようとした時、天海和尚が静かに姿を現した。
「夜分に失礼いたします。娘御、そろそろお戻りになる刻限が近づいておるようですぞ」
天海の言葉に、葵ははっとした。香合が、再び微かに振動し始めている。それは、元の時代へ帰る時が来たことを告げる合図だった。
「そんな……もう……?」
葵の目から、再び涙が溢れた。政宗と共にいたい。しかし、それは叶わぬ願い。この時代の人間ではない自分が、彼の未来を縛ることはできない。
政宗は、葵の肩を抱き寄せた。
「葵、泣くな。我々の絆は、時を超えて繋がっている。この香合と伽羅がある限り、必ず……」
彼は言葉を詰まらせながらも、力強く言った。
「必ず、また会える。そうであろう? 天海和尚」
天海は静かに頷いた。
「左様。縁(えにし)というものは、そう簡単には切れませぬ。特に、この香合が結んだ縁は、幾世にも渡って続くものでございましょう」
そして天海は、葵に小さな桐の箱を差し出した。
「娘御、これは餞別でございます。中には、この寺に伝わる竹の種と、伽羅『東大寺』の小さな欠片が入っております。おぬしの時代で、この竹を育て、香りを焚いてくだされ。そうすれば、若君の想いは、必ずやおぬしに届きましょう」
葵は震える手で桐の箱を受け取った。胸がいっぱいで、言葉が出ない。
香合の光が、徐々に強まっていく。別れの時が、刻一刻と迫っていた。
「葵!」
政宗は葵を強く抱きしめた。その腕の力強さ、温もり、そして彼の香り。葵は全てを記憶に刻みつけようとした。
「忘れるな、葵。我の名を。伊達政宗の名を! 我もおぬしの名を、決して忘れぬ!」
政宗の目にも、涙が光っていた。それは、天下を目指す若き覇王が見せる、初めての涙かもしれなかった。
「政宗様……私も……あなたのこと、決して忘れません……!」
葵は、政宗の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。そして、最後の力を振り絞るように、彼の唇に自らの唇を重ねた。それは、感謝と、愛情と、そして永遠の別れを告げる、切ない口づけだった。
次の瞬間、葵の身体は眩い光に包まれ、意識が遠のいていく。最後に見たのは、涙を堪え、それでも力強く自分を見送ろうとする政宗の姿だった。
……気がつくと、葵は自分の工房の床に座り込んでいた。夕陽が窓から差し込み、部屋を茜色に染めている。まるで長い夢を見ていたかのようだ。しかし、手のひらには、あの純金の香合が確かに握られていた。そして、その隣には、見慣れない小さな桐の箱が置かれている。
葵は桐の箱をそっと開けた。中には、数粒の竹の種と、爪の先ほどの大きさの、黒く艶やかな伽羅の欠片が入っていた。そして、一枚の和紙。そこには、政宗の筆跡であろう、力強い文字でこう書かれていた。
「葵へ。再びまみえる日を、心待ちにす。伊達政宗」
涙が、後から後から溢れてきた。あれは夢ではなかった。自分は確かに戦国の世へ行き、伊達政宗と出会い、恋をしたのだ。
数年の月日が流れた。葵は古美術修復士としての腕を磨き、独立して自分の店を持つまでになっていた。あの純金の香合は、今も彼女の仕事机の一番大切な場所に置かれ、時折、桐の箱から伽羅の欠片を取り出しては、そっと焚いた。その清澄で力強い香りは、いつも彼女に勇気と安らぎを与えてくれた。庭には、天海和尚からもらった竹の種から育った若竹が、青々と葉を茂らせている。
ある雨上がりの午後、葵の店に一人の青年が訪れた。年の頃は葵と同じくらい。どこか懐かしい面影を持つ、精悍な顔立ちの青年だった。
「あの……神崎葵さんでいらっしゃいますか?」
青年は少し緊張した面持ちで尋ねた。
「はい、私が神崎ですが……」
青年はほっとしたように微笑むと、懐から小さな袋を取り出した。そして、その中から現れたのは……竹で作られた、小さな、しかし精巧な香合だった。
「これを、お渡しするようにと……先祖代々、言い伝えられてきました。我が名は、伊達政和(だて まさかず)と申します」
葵は息を呑んだ。伊達……まさか。
青年、伊達政和は語り始めた。彼の家には、遠い先祖である伊達政宗が、いつか現れるであろう「竹の香合を持つ女性」に渡すようにと遺した品があること。そして、その女性は、政宗にとって生涯忘れ得ぬ、特別な存在だったという言い伝えを。
「祖父が亡くなる前に、この竹の香合を私に託し、『お前が、その女性を見つけ出すのだ』と……。そして、この香りのする場所を探せと……」
政和は、葵が焚いていた伽羅の香りを辿って、この店にやってきたのだという。
葵は、政和の持つ竹の香合と、自分の純金の香合を見比べた。形は違えど、そこに込められた想いは同じだと感じた。そして、政和の瞳の奥に、あの懐かしい、政宗の面影を見た。
「政宗様は……あなたのご先祖様は、私にこう書き残してくれました。『再びまみえる日を、心待ちにす』と」
葵は、政宗からの手紙を政和に見せた。政和は驚き、そして深く感動した様子でその手紙を見つめた。
「やはり……あなたは……」
二人の間に、言葉はもう必要なかった。時を超えた約束が、今、果たされたのだ。葵の目からは、再び涙が溢れたが、それはもう悲しみの涙ではなかった。
その後、葵と政和は、互いの香合が結んだ不思議な縁に導かれるように、自然と惹かれ合っていった。政和は歴史学者で、特に伊達家と香文化の研究をしていた。二人は共に古文書を調べ、伊達政宗が手に入れた伽羅「東大寺」の一部が、紆余曲折を経て、とある古刹に寄贈され、今も国宝級の寺宝として大切に守られていることを突き止める。その寺の庭には、やはり見事な竹林があったという。
数年後、葵と政和は結婚し、ささやかながらも幸せな家庭を築いた。彼らの家には、二つの香合が並んで置かれている。純金の香合と、竹の香合。それは、時を超えて結ばれた二人の愛の証であり、これからも幾世代にもわたって、金蘭の絆の物語を語り継いでいくことだろう。
そして、あの純金の香合は、これからも時折、持ち主を不思議な旅へと誘うのかもしれない。しかし、葵はもう何も恐れていなかった。なぜなら、彼女の隣には、時を超えて再び巡り会えた、愛する人がいるのだから。
縁側には、今日も伽羅の清らかな香りが漂い、庭の竹の葉が、まるで祝福するかのように、風に優しくそよいでいた。

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