太宰治〔作〕、「お伽草紙・新釈諸国噺」（岩波文庫）です。2020年・第12刷。状態は未使用に近く、非常に良好です。送料は、クリックポストで185円です。　

★内容：　「瘤取り」、「浦島さん」、「カチカチ山」、「舌切雀」。誰もが知っている昔話も太宰治の手にかかったら・・・。親しみやすい語り口に諷刺とおどけをしのばせ、天性の喜劇作家がおなじみの説話の世界を自由奔放に換骨奪胎。作者が「世界で一ばん偉い作家」と惚れこむ西鶴の作品を踏まえた「新釈諸国噺」を併収。解説は安藤宏、高橋源一郎。

　「太宰治は昭和18年に『右大臣実朝』を刊行したのを機に次第に日本の古典文学の翻案へと方向を転換し、昭和19年から20年にかけ、相次いで『新釈諸国噺』『お伽草紙』を発表した。空襲が激しくなり、物資の欠乏から作品発表の場が制限されていくこの時期、これほど旺盛な創作活動を展開した文学者は文壇にほかに見あたらず、その功績はあらためて特筆されてよいだろう。太宰個人にとっても、これら二作は明るい向日的な作風である中期の、いわば総決算としての意味を持っており、小説家として脂ののった時期のエッセンスが凝縮されている」　（安藤宏； 解説「翻案とパロディのあいだ」より）

　「ぼくは、この作品を、太宰治の生涯最高の傑作と信ずる。いや、日本近代文学史上最高の傑作と信じて疑わない。太宰治は、この作品において、はじめて、自らの理想とする作品を書いたのである」　（高橋源一郎； 解説「『母親』の文学」より）

★太宰治（だざい おさむ）は1909年（明治42年）、青森県生まれ。本名は津島修治。東京帝国大学仏文科中退。井伏鱒二に師事。左翼活動での挫折後は、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、第2次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表。主な作品に『富嶽百景』、『走れメロス』、『津軽』、『人間失格』などがある。没落した華族の女を主人公にした『斜陽』はベストセラーとなる。戦後はその作風から、坂口安吾、織田作之助、石川淳、檀一雄らとともに新戯作派または無頼派と称されたが、典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年（昭和23年）、玉川上水で入水自殺（享年38）。命日には「桜桃忌」が営まれる。

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