返回顶部
N194:ウリキリ!史上最長『至高の輝きを解き放つ最高級Pt950磁気ユニセックスNC兼ブレスレット』 15.9g 2.4mm 新品拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
  • {$data['title']拍卖
X
N194:ウリキリ!史上最長『至高の輝きを解き放つ最高級Pt950磁気ユニセックスNC兼ブレスレット』 15.9g 2.4mm 新品
{$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖 {$data['title']拍卖
收藏该商品
N194:ウリキリ!史上最長『至高の輝きを解き放つ最高級Pt950磁気ユニセックスNC兼ブレスレット』 15.9g 2.4mm 新品
商品编号:g1198834113 【浏览原始网页】
当前价:RMB 2
加价单位:10日元
出价:4 直 购 价:RMB 135432.00
商品件数:1
商品成色:新品
日本邮费:买家承担
可否退货:不可以
开始时间:2025-09-08 12:18:53
结束时间:2025-09-15 21:28:26
自动延长:有可能
提早结束:有可能
划词翻译上线,鼠标选择文字自动翻译,翻译内容仅供参考,如有疑问请咨询小觅翻译。



ヤフオク「至高の輝きを解き放つ最高級Pt950磁気ユニセックスNC兼ブレスレット」を落札した主人公が、大阪夏の陣の豊臣秀頼に転生し、徳川家康に勝利して天下泰平を成し遂げる。そんな壮大なSF歴史妄想セールストーク小説です。長いよ!

以下に、全10章の物語の幕開けとなる第一章です〜

https://youtu.be/qj3Kou2m2O4?feature=shared

小説タイトル:『白金の龍、浪速に舞う』

第一章:運命のクリック

午前3時。東京のワンルームマンションで、俺、斉藤健一(さいとうけんいち)の意識は、ディスプレイの放つ光に完全に囚われていた。歴史、特に戦国時代の研究で博士課程まで進んだものの、ポストに恵まれず、今はしがないウェブライターとして糊口をしのぐ日々。そんな俺が、けして潤沢とは言えない貯金の大半を注ぎ込もうとしているのは、ヤフーオークションに出品された一本のジュエリーだった。
『至高の輝きを解き放つ最高級Pt950磁気ユニセックスNC兼ブレスレット』
長ったらしい商品名だが、その魅力は写真からでも十二分に伝わってきた。銀でもない、ホワイトゴールドでもない、深く、それでいて鋭い白銀の輝き。プラチナだ。それも、宝飾品としては最高純度に近いPt950。
歴史研究の傍ら、古い時代の装飾品に使われる金属の歴史もかじった。プラチナ、白金。その歴史は、金や銀に比べて遥かに新しい。古代エジプトやインカでわずかに使われた痕跡はあるものの、本格的に人類がその価値を認識したのは18世紀。スペイン人が南米で発見したこの金属を、当初は「熟していない金」として軽んじたという。融点が高く、加工が極めて困難だったからだ。だが、その不変の輝きと希少性から、やがて王侯貴族に愛され、「王者のための金属」と呼ばれるようになった。ルイ16世は「プラチナは王にのみふさわしい」と語り、カルティエは「プラチナこそ宝飾品の王」と讃えた。
その歴史的背景が、俺を惹きつけてやまなかった。出品されているブレスレットは、単なるプラチナジュエリーではなかった。小さな球形のプラチナと、細長いバグパイプ状のプラチナが交互に、数本のラインとなって連なっている。そして、その結合部には強力なネオジム磁石が内蔵され、ネックレスにもブレスレットにも、あるいはアンクレットにも姿を変えるという。伝統的な素材と、現代的な機能美の融合。それはまるで、過去と未来を繋ぐオブジェのように思えた。
「フリー(最長67.5cm) 約15.9g 2.4mm 新品」
スペックが頭の中で反芻される。15.9グラム。決して重くはない。だが、プラチナの比重は金の1.5倍以上。この細さ、この軽さからは想像もつかないほどの密度が、そこには凝縮されているはずだ。手にした時、それはきっと、歴史の重みそのものを感じさせるに違いない。
なぜ、これほどまでに惹かれるのか。自分でも分からなかった。ただ、画面の中で静かに輝くその白金が、俺の燻ぶるような日常から脱出するための鍵であるかのような、奇妙な予感があったのだ。それは、歴史の中に埋もれてしまった「もしも」の可能性を探求し続けてきた俺の魂が、このジュエリーに宿る「何か」と共鳴しているかのようだった。
終了時刻まで、残り1分。
心臓の鼓動が、部屋の静寂を破るほど大きく聞こえる。入札額は、すでに俺の月収の数倍に達していた。これ以上は無謀だ。だが、ここで引けば、一生後悔する。そんな確信にも似た衝動が背中を押した。
マウスを握る手に、じっとりと汗が滲む。俺は、最後の入札額として、貯金残高から生活費を差し引いたギリギリの数字を打ち込んだ。エンターキーを押す。その瞬間、ディスプレイに表示された「あなたが現在の最高額入札者です」の文字が、まるで遠い世界の出来事のように見えた。
残り10秒。9、8、7……。
俺は息を詰めて、ただ数字が減っていくのを見つめていた。まるで、自らの運命がカウントダウンされているかのように。
3、2、1、0。
画面が切り替わる。「おめでとうございます!あなたが落札しました!」。
全身から力が抜け、椅子に深く沈み込む。安堵と、途方もないことをしてしまったという背徳感が入り混じった、奇妙な感覚。しかし、それ以上に、心の奥底から湧き上がってくる高揚感があった。俺は、あの白金の輝きを手に入れたのだ。
数日後、厳重に梱包された小さな箱が届いた。震える手で封を開けると、ベルベットのケースの中に、それは静かに収まっていた。画面で見た以上の、冷たく、知的な輝き。手に取ると、ずしりとした重みが心地よかった。これが、プラチナ……。歴史の荒波の中で、決して錆びることも、色褪せることもなかった金属。
早速、腕に巻いてみる。磁石がカチリと小気味よい音を立てて繋がった。肌に触れるプラチナの冷たさが、まるで血管を通じて全身に広がっていくようだ。その瞬間だった。
——ぐにゃり、と。
視界が歪んだ。いや、視界だけではない。部屋そのものが、世界そのものが、まるで熱せられたガラスのように揺らめき始めたのだ。
「うわっ!?」
めまいか?あまりの興奮に、立ちくらみでも起こしたのかもしれない。そう思ったが、現象は収まらなかった。ブレスレットを巻いた左腕が、灼けるように熱い。見れば、プラチナのパーツの一つ一つが、これまで見たこともないほどの激しい光を放っている。それはまるで、小さな太陽の連なりのようだった。
「なんだ、これ……!」
引き剥がそうとするが、磁石が異常な力で吸着し、外れない。光はますます強くなり、もはや部屋の中は白銀の輝きだけで満たされていた。そして、俺の意識は、急速に遠のいていった。最後に感じたのは、プラチナの冷たさとは正反対の、全てを溶かすような熱。そして、遠くで聞こえる、誰かの叫び声と、けたたましい法螺貝の音だった。



第二章:目覚めは浪速の天守

意識が浮上する。それはまるで、深い水の底から光の射す水面へと押し上げられるような、抗いがたい感覚だった。最初に感じたのは、鼻をつく異臭。木が焦げる匂い、火薬の硝煙、そして、生々しい血の鉄錆びた香り。それらが混じり合い、脳を直接殴りつけるような不快な刺激となって襲いかかってきた。
「秀頼様!お気を確かに!」
誰かが俺の肩を揺さぶっている。しゃがれた、しかし芯の通った男の声だ。重たい瞼をこじ開けると、視界に飛び込んできたのは、見たこともない光景だった。天井は、金箔が貼られた豪華な格子天井だが、その端は黒く焼け焦げ、燻る煙が渦を巻いている。周囲の壁には、狩野派が描いたであろう壮麗な松の絵。しかし、それも煤で汚れ、所々が剥落していた。ここは、どこかの城の、それも燃えている城の天...
「...守?」
かすれた声が、自分の喉から漏れた。だが、それは俺、斉藤健一の声ではなかった。もっと若く、張りのある、知らない声だ。混乱の極みで視線を巡らせる。俺を取り囲んでいたのは、時代劇から抜け出してきたような人々だった。頭のてっぺんを剃り上げ、髻を結った武士たち。その誰もが、高価そうな甲冑を身に着けているが、その表面は傷だらけで、血糊がこびりついている者もいる。彼らが、一様に心配そうな、いや、絶望に彩られた表情で俺を見つめていた。
「おお、お気づきになられましたか!淀の方様、秀頼様がお目覚めに!」
先ほど俺を揺さぶっていた、ひときわ立派な鎧をまとった老将が、安堵の声を上げた。その視線の先には、十二単にも似た豪奢な着物をまとった、気品と憔悴が入り混じった表情の女性が立っていた。彼女は、俺の目覚めを知ると、崩れるように駆け寄り、俺の手を握った。その手は氷のように冷たく、小刻みに震えている。
「秀頼...!我が子よ...!」
ひでより?よどのかた?
頭の中で、その言葉が意味を結ぶのに、数秒を要した。歴史研究者であった俺の脳が、最悪の答えを弾き出す。まさか。そんな馬鹿なことがあるはずがない。俺は東京のワンルームで、ヤフオクで落札したブレスレットを腕につけて...
そこで、俺ははっと左腕を見た。そこには、確かに見覚えのある白金の輝きがあった。俺が人生のすべてを賭けて手に入れた、Pt950のブレスレット。なぜ、これだけがここにある?
俺は、震える手でブレスレットに触れながら、よろよろと立ち上がった。周囲の者たちが慌てて支えようとするのを制し、近くにあった黒漆の刀掛けに歩み寄る。そこに立てかけられた太刀の、鏡のように磨き上げられた鞘。そこに映っていたのは、斉藤健一の、寝癖のついた三十路男の顔ではなかった。
まだ幼さの残る、しかし気品のある顔立ち。すっと通った鼻筋に、意志の強さを感じさせる涼やかな目元。教科書の資料集で、何度も見た顔。豊臣秀頼。その人であった。
ゴオオオオオッ!
城の外から、地響きのような轟音が届いた。天守が、ぐらりと大きく揺れる。悲鳴を上げる女たち。
「もはやこれまで...!大野修理様、秀頼様と淀の方様のご介錯を!」
「おのれ徳川!この恨み、冥府魔道で晴らさん!」
武士たちが、次々と自決の覚悟を口にする。大野修理と呼ばれた男が、悲痛な表情で俺と淀の方を見ている。
状況が、嫌でも理解できた。慶長二十年五月七日。大坂夏の陣、最終局面。燃え盛る大坂城天守。そして俺は、豊臣家の最後の当主、豊臣秀頼に転生してしまったのだ。歴史の知識が、この後の展開を無慈悲に告げている。この天守で、母である淀殿や家臣たちと共に自害する。それが、豊臣秀頼に定められた運命。
「...冗談じゃない」
再び、自分のものとは思えない声が漏れた。自害?ここで死ぬ?俺は斉藤健一だぞ。博士論文を完成させて、いつか大学の教壇に立つのが夢だった。こんなところで、歴史の登場人物として、筋書き通りに死んでたまるか。
しかし、どうするというのだ。城は徳川の大軍に包囲され、もはや落城寸前。この天守閣が、最後の砦。歴史を知っているからこそ、ここからの逆転がいかに不可能であるかが痛いほど分かった。真田幸村は討ち死にし、豊臣方の主だった将は、ことごとく戦場に散った。打つ手など、何一つ残されていない。
「秀頼、覚悟をお決めなさい」
淀の方が、涙を流しながらも毅然とした声で言った。その瞳には、豊臣の女としての誇りと、息子を道連れにすることへの絶望が浮かんでいた。ああ、この人も、歴史の悲劇のヒロインなんかじゃない。今、ここで生きている人間なんだ。
絶望が、冷たい水のように足元から這い上がってくる。死への恐怖が、全身を支配しようとした、その瞬間だった。
——カチリ。
左腕のブレスレットが、微かな音を立てた。そして、次の瞬間、脳内に直接、膨大な情報が流れ込んできたのだ。それは、映像でもなければ、言葉でもない。純粋な「情報」の奔流。斉藤健一が持っていた、21世紀の知識。物理学、化学、数学、そして、彼が最も得意とした日本史のデータベース。それらが、ブレスレットを媒介として、秀頼の脳内で再構築されていくような、不思議な感覚だった。
『Pt950...融点1768℃。極めて高い耐熱性。』
『ネオジム磁石...Nd2Fe14B。現在知られている永久磁石の中で最も強力。保磁力1.4テスラ以上。』
『大坂城天守...主要構造材は木。壁材は土壁と漆喰。瓦は粘土瓦。』
『徳川軍の装備...主力火器は火縄銃。有効射程約50m。材質は鉄、真鍮。』
バラバラだった知識の断片が、猛烈な速度で繋がり、一つの「可能性」を形作り始めた。火、熱、金属、磁力、構造力学...。
「...いや」
俺は、無意識に呟いていた。
「まだだ。まだ、終わっていない」
その声は、自分でも驚くほど、冷静で力強かった。絶望に沈んでいた周囲の者たちが、一斉に俺の顔を見る。その視線には、驚きと、わずかな困惑が浮かんでいた。これまで、母の言うがまま、周囲に流されるままだった若き当主の、あまりにも異質な変化に戸惑っているのだ。
「秀頼...?何を...」
淀の方が、訝しげに俺を見る。俺は彼女の手をそっと握り返した。その手は、まだ冷たく震えている。
「母上。皆も、聞いてくれ。死ぬのはまだ早い。俺に、考えがある」
考え?この期に及んで、一体どんな考えがあるというのか。誰もがそう思っただろう。だが、俺の脳内では、ブレスレットから流れ込む未来の知識と、歴史研究者としての知識が融合し、一つの奇策を練り上げていた。それは、この時代の人間には到底思いつくことのできない、荒唐無稽な作戦。成功する保証はない。むしろ、失敗する可能性の方が高いだろう。
だが、史実通りにここで焼け死ぬよりは、万分の一の可能性に賭ける方が、よほどマシだ。
俺は、左腕のブレスレットを強く握りしめた。プラチナの冷たさが、思考をクリアにしてくれる。その不変の輝きが、まるで「お前ならできる」と語りかけているようだった。そうか、お前は、このために俺をここに呼んだのか。錆びることなく、時代を超えて存在するお前のように、俺にも運命に抗えと。
「大野修理、天守にいる全ての兵を集めろ。女たちには、ありったけの布と水を。そして、毛利勝永はまだ城内にいるか?彼に、至急これを...」
俺は、矢継ぎ早に指示を出し始めた。その内容は、あまりに奇想天外で、家臣たちは呆然としていた。だが、死を覚悟した人間の瞳の奥に、ほんのわずかな光が宿り始めていた。それは、「希望」という名の光だった。
外では、徳川軍の鬨(とき)の声が、ますます大きく響き渡っている。残された時間は、ほとんどない。
俺、豊臣秀頼は、腕に巻かれた白金の輝きと共に、歴史上最も絶望的とされる状況からの、反撃の狼煙を上げようとしていた。



第三章:白金の軍略

俺、いや、豊臣秀頼の口から放たれた言葉は、死を覚悟していた者たちの思考を完全に停止させた。天守に籠る者、三百余名。その全てが、水を打ったように静まり返り、まるでこの世ならざるものを見るかのような目で、若き主君を見つめている。彼らの瞳に映るのは、困惑、疑念、そしてほんのわずかな、藁にもすがるような期待。その複雑な感情の渦の中心で、俺は左腕のプラチナの冷たさだけを頼りに立っていた。
最初に沈黙を破ったのは、豊臣家の宿老、大野治長(おおのはるなが)だった。彼は修理亮(しゅりのすけ)の官職から「大野修理」と通称される男。豊臣家への忠誠心は人一倍だが、それゆえに現実主義者でもあった。彼は、血と煤で汚れた顔を歪め、絞り出すように言った。
「秀頼様…申し上げます。今、兵を集めてどうなさるおつもりで。城はもはや丸裸。真田も後藤も、皆、討ち死に。我らに残された道は、豊臣家の名誉を守り、潔く…」
「死ぬことか、修理」
俺は、彼の言葉を遮った。その声は、自分でも驚くほど低く、揺るぎなかった。脳内に流れ込み続ける21世紀の知識が、この状況を客観的に分析させ、恐怖という感情を麻痺させているのかもしれない。
「名誉とは、生き延びてこそ語れるもの。死人に口なし、歴史は勝者が作る。ここで我らが腹を切れば、徳川は言うだろう。『豊臣秀頼は、天下の安寧を乱した愚かな若君であった』と。それでよいのか?太閤殿下(たいこうでんか)が築かれたこの日ノ本を、狸親父(たぬきおやじ)の好きにさせて、それで豊臣の誇りが守れると申すか」
「そ、それは…」
治長が言葉に詰まる。彼の背後にいた武士たちの間にも、動揺が走った。これまで母である淀の方の影に隠れ、優柔不断とさえ見られていた若き当主の、あまりにも堂々とした弁舌。それは、彼らが知る豊臣秀頼ではなかった。
俺は、淀の方に向き直った。彼女は、我が子のあまりの変貌に驚きつつも、その瞳の奥に宿る強い光から目を逸らせずにいた。
「母上。恐ろしいのは分かります。ですが、どうか私を信じていただきたい。私は、この城を、豊臣の天下を守り抜きます」
「秀頼…」
淀の方が、震える声で俺の名を呼ぶ。その手を取り、俺は力強く頷いた。そして再び、居並ぶ家臣たちへと視線を戻す。
「これより、前代未聞の籠城戦を始める。修理、そなたの言う通り、我らに兵は残っておらぬ。なれば、この天守そのものを、我らの武器とするのだ」
俺は、燃え落ちそうな梁を指さした。
「まず、女たちに命じよ。城内にある全ての水瓶、酒樽をここに。ありったけの布という布を水に浸し、柱、壁、床、天井、全てを濡らすのだ。火の手を少しでも遅らせる」
「は、はっ!それは理に適っておりまする!」
これは、彼らにも理解できる策だった。数名の武士が、すぐに女たちを束ねて駆け出していく。だが、俺の本命はここからだった。
「次に、屈強な者を集め、武具蔵へ。槍、刀、鎧、不要になった鉄砲、ありとあらゆる鉄製品をここへ運び込め。城の柱や扉から、釘という釘を抜き、蝶番(ちょうつがい)を外せ。台所からは鍋、釜、五徳(ごとく)の類も全てだ。鉄という鉄を、この天守に集めるのだ!」
「な…秀頼様、鉄を集めて、一体何を?」
治長の問いに、誰もが頷く。武器を運び込むならまだしも、鍋や釜、古釘まで集めてどうするというのか。
「鉄を、砕くのだ」
「…は?」
「槌(つち)で打ち、石で砕き、可能な限り細かくする。砂のように、塵のようにだ。そして、それを天守の窓という窓から、眼下の徳川兵に向かって撒く!」
その言葉に、広間は再び静まり返った。今度こそ、誰もが俺の正気を疑っただろう。鉄の砂を撒く?そんなものが何の武器になるというのだ。それはもはや策ではなく、狂人の戯言だ。
「秀頼様、お戯れを!」
「殿は、お気でも狂われたか…」
ざわめきが、非難の色を帯び始める。その時、広間の入り口から、野太い声が響いた。
「面白い。続けてみよ、右大臣殿(うだいじんどの)」
声の主は、全身を返り血で濡らした、鬼神の如き様相の武将だった。毛利勝永(もうりかつなが)。史実において、夏の陣最後の戦いで徳川軍の先鋒を蹂躙し、家康の本陣にあと一歩まで迫った猛将である。彼の参戦で、場は一気に引き締まった。
俺は、勝永に深く頷くと、左腕のブレスレットを皆の前に掲げた。白金のパーツが、炎の光を反射して妖しく輝く。
「諸君は、これをただの飾り物と思うか?」
俺は近くに転がっていた、徳川軍が撃ち込んできた火縄銃の弾――鉛の塊を拾い上げた。そして、ブレスレットに近づける。何も起こらない。次に、近くの武士が持っていた脇差の鞘(さや)についていた、鉄製の小柄(こづか)を借り、ブレスレットに近づけた。
次の瞬間、小柄は目に見えない力で引かれ、「カチン!」という鋭い音を立ててブレスレットに吸い付いた。
「なっ!?」
「妖術か!?」
驚愕の声が上がる。俺は、ブレスレットに吊り下がる小柄を揺らしながら言った。
「これは、南蛮渡来の至宝。鉄を引き寄せる不思議な力、『磁力』を持つ。この天守から鉄の砂を撒き、俺がこの力で操る。砂は嵐となりて敵兵の目に降り注ぎ、視力を奪う。甲冑の隙間に入り込み、身動きを封じる。そして何より、奴らが頼みとする鉄砲!その銃口に砂鉄が吸い寄せられれば、暴発するか、二度と弾は撃てまい。鉄砲隊を無力化できるのだ!」
脳内に流れ込んだ知識を、この時代の人間にも理解できるよう、必死に言葉に変換する。ネオジム磁石の強力な磁場が、微細な鉄粉をどう動かすか。斉藤健一の物理学の知識が、明確なビジョンとなって脳裏に浮かんでいた。もちろん、ブレスレット一つの磁力で戦局を覆せるほど甘くはない。だが、この極限状況では、敵の混乱を誘い、時間を稼ぐだけでも大きな意味があった。何より、この人知を超えた現象は、味方の士気を劇的に高め、敵には底知れぬ恐怖を与えるはずだ。
毛利勝永が、ゴクリと喉を鳴らした。彼の目は、もはや俺を狂人としてではなく、何か得体の知れない、しかし途方もない可能性を秘めた存在として見ていた。
「…なるほど。まるで、神便鬼毒(しんべんきどく)の術。面白い。実に面白い!死ぬくらいなら、その与太話に乗ってやろうではないか!」
勝永の賛同は、空気の流れを決定的に変えた。歴戦の勇者が乗ったのだ。疑心暗鬼だった他の武士たちも、「毛利殿が言うなら…」「確かに、このまま死ぬよりは…」と、顔を見合わせ始めた。
俺は、最後のを刺すために、もう一つの「軍略」を口にした。それは、プラチナという金属そのものの特性を利用した、心理戦だった。
「そして、もう一つ。この腕輪…『白金』は、決して錆びず、そして、火にも溶けぬ」
厳密には、1768℃という高温で溶ける。だが、この城の木材が燃える温度では、変色すらしないだろう。
「徳川の兵どもは、やがてこの天守が焼け落ちるのを見るだろう。だが、その炎の中から、俺は現れる。この白金の輝きと共に、無傷でな。それを見た時、敵はどう思う?『豊臣は天に守られている』『秀頼は不死身の存在だ』と。兵の足はすくみ、戦意は砕け散る。これこそが、我が策の真髄よ!」
それは、ハッタリであり、壮大なショーの演出だ。だが、戦とは、兵力や物量だけで決まるものではない。士気、心理、そして「勢い」。俺は、プラチナの不変性という物理的特性を、豊臣の神聖性という形而上(けいじじょう)の力に転換させようとしていた。
「おお…!」
「なんと…!」
今や、家臣たちの目に疑いの色はなかった。代わりに宿っていたのは、狂信的なまでの輝き。彼らは、目の前の若き主君に、滅びゆく豊臣家を救う、最後の天命を見たのだ。
「修理、分かったか。時がない。すぐに鉄を集め、砕け!勝永は、腕の立つ者を選び、鉄の砂を撒く準備を!母上、女たちを率いて、火の手が回らぬよう、天守を水で清めてください!」
「「「ははっ!!」」」
地鳴りのような返事が、燃え盛る天守に響き渡った。絶望に支配されていた空間は、今や、常軌を逸した熱気に満ちている。武士たちが走り、女たちが叫び、鉄を打つ甲高い音が鳴り響き始めた。
俺は、その喧騒の中心で、左腕のブレスレットを静かに見つめた。
(お前は、ただのジュエリーじゃなかったんだな…)
ヤフオクの画面で見た、ただ美しいだけの装飾品。それが今、歴史を変えるための、唯一無二の切り札となっている。白金の軍略は、まだ始まったばかりだ。



第四章:真田幸村との対峙

大坂城天守閣は、もはや城としての機能ではなく、巨大な一つの機械と化していた。男たちの怒号、女たちの鋭い声、そして、カン、カン、カン、と響き渡る無数の槌音。それは、武器を、鍋釜を、果ては建材の釘までをも砕き、来るべき奇策のための「砂鉄」を生み出すための、絶望に抗う者たちの不協和音だった。
俺、豊臣秀頼は、その異様な熱気の中心に立ち、淀みなく指示を飛ばしていた。ブレスレットから流れ込む知識は、単なる物理法則や歴史のデータだけではなかった。それは、無数の人間を動かし、一つの目的に向かわせるための最適な「システム」を俺の脳内に構築していた。誰をどこに配置し、何を優先させ、どう士気を維持するか。まるで、頭の中に熟練のプロジェクトマネージャーが住み着いたかのようだった。
「窓辺に陣取る弓隊は鉄の砂を詰めた革袋を持て!合図があるまで決して放つな!」
「水で濡らした布が乾き始めている!交代の者を回せ!」
家臣たちは、もはや俺の言葉に一切の疑念を挟まなかった。狂気じみた策ではあったが、そこに貫かれている異様なまでの合理性と、淀みない指揮系統が、彼らに「これならば」と思わせる何かを持っていたのだ。
その喧騒を切り裂くように、階下から悲痛な声と共に、数名の武者が駆け上がってきた。彼らが担いでいる担架には、一人の武将が横たわっている。その姿を見た瞬間、天守内の全ての音が、一瞬だけ止まった。
「さ、真田様…!」
誰かが呻くように言った。
そこにいたのは、真田左衛門佐幸村(さなださえもんのすけゆきむラ)、その人であった。日本一の兵(つわもの)と謳われた男。彼の代名詞である赤備えの鎧は、原型を留めぬほどに破壊され、おびただしい量の血で赤黒く染まっている。胸や腹、数か所からの出血は致命的に見え、その顔は蝋のように白く、もはや息があるのかどうかさえ定かではない。
史実では、彼は家康の本陣に三度までも突撃を敢行し、あと一歩まで追い詰めた末、四天王寺近くの安居神社で壮絶な討ち死を遂げたはずだった。だが、ここにいる。歴史が変わったのか?いや、おそらくは、俺が秀頼として覚醒したことによる、ほんの僅かな時間のズレ。そのズレが、彼を死の淵から、この天守へと運び込んだのだ。
「申し上げます!真田様、敵本陣に突入なされ、獅子奮迅のご活躍の末、力尽きられました…!もはや、ご臨終も時間の…」
幸村の家臣であろう武者が、涙ながらに報告する。周囲の者たちは、最後の英雄の姿に、再び絶望の色を顔に浮かべていた。豊臣方の最後の希望が、今まさに消えようとしている。
だが、俺は違った。歴史研究者・斉藤健一の魂が、目の前の光景に歓喜と畏怖で打ち震えた。本物の、真田幸村だ。そして、秀頼となった俺の脳は、彼の姿を「歴史上の人物」ではなく、「救うべき命」として認識した。
「どけ!全員、道を開けろ!」
俺は叫びながら、人垣をかき分けて幸村のもとへ駆け寄った。
「医者を!…いや、違う。酒を持ってこい!できるだけ強いやつだ!それと、清潔な布、針、そして火を!」
俺の常軌を逸した命令に、誰もが目を丸くする。
「秀頼様!?ご臨終の間際である真田様に、酒と火など…!」
「黙れ!死なせはせん!俺が、この男を死なせるものか!」
俺は、幸村の鎧の紐を自らの手で解きにかかった。周囲の制止も耳に入らない。斉藤健一として持っていた知識が、閃光のように脳裏を駆け巡る。感染症、消毒、縫合。この時代には存在しない、基本的な救命知識。
「布を火で炙れ!煙が出なくなるまでだ!針も同じく!」「酒は飲むな!傷口に直接かけるのだ!」「傷口を塞いでいる破片は、無理に抜くな!血が噴き出すぞ!」
それは、この時代の人間にとっては、理解不能な呪詛に聞こえただろう。傷口に酒をかけるなど、拷問に等しい。武士の誉れである傷を、火で炙った布で拭うなど、冒涜でしかない。幸村の家臣が、血相を変えて俺の腕を掴んだ。
「右大臣殿!我が殿の亡骸を、辱めるおつもりか!」
「辱める?」俺は、その手を振り払い、鋭い視線で彼を射抜いた。「この男は、まだ死んではいない!貴様らは、ただ見ているだけで、この日ノ本が失うにはあまりに惜しい魂を、見殺しにするつもりか!」
俺の気迫に、家臣はたじろいだ。その隙に、俺は命令した物品をかき集め、応急処置を開始した。熱した布で傷の周囲の汚れを拭い、酒――蒸留された焼酎に近いもの――で傷口を消毒する。その瞬間、意識を失っていたはずの幸村の身体が、びくりと大きく痙攣した。
「う…ぐ…!」
呻き声。幸村は、まだ生きていた。天守内に、どよめきが広がる。
「見たか。生きている。あとは、この血を止めるだけだ」
俺は、比較的傷の浅い箇所を、焼いた針と、鎧の革紐を解いて作った糸で、手早く縫合していく。現代の医療技術とは比べるべくもない、あまりに稚拙な処置。だが、何もしないよりは万倍マシだ。
処置を終える頃には、俺の額にも汗がびっしりと浮かんでいた。しばらくすると、荒かった幸村の呼吸が、わずかに、しかし確かに落ち着きを取り戻していた。奇跡だ、と誰もが思った。だが、俺にとっては、知識と確率に基づいた、当然の結果だった。
「…ここは…?」
やがて、幸村が薄く目を開けた。その視線は虚ろだったが、ゆっくりと焦点を結び、俺の顔を捉えた。
「…右大臣…殿…?儂は…死んだはずでは…」
「まだだ、左衛門佐。閻魔大王が、お前ほどの豪傑を迎えに来るには、ちと早すぎる」
俺は、彼の口元に水を含ませながら、冗談めかして言った。幸村は、朦朧とした意識の中で、目の前の秀頼に言い知れぬ違和感を覚えていた。自分が知る、どこか頼りなげな若君ではない。その声、その眼光、その佇まい。まるで、百戦錬磨の大将軍がそこにいるかのようだ。
「…貴殿は…一体…」
「豊臣秀頼だ。そして、お前と共に徳川を打ち破り、天下を獲る男だ」
俺は、ゆっくりと、しかし力強く言い放った。そして、先ほど家臣たちに語った「磁気嵐」と「プラチナの旗」の策を、この瀕死の英雄に語って聞かせた。武勇や兵法とは全く異質の、科学と心理を武器とする戦術。それは、幸村がこれまで経験してきた、どの戦とも似ていなかった。
全てを聞き終えた幸村は、しばらく黙っていた。そして、乾いた唇を震わせ、かすれた声で笑った。
「…は…はは…。鉄の砂…錆びぬ白金…。まるで、狐か狸に化かされたような話よ…」
彼の目は、俺の左腕のブレスレットに注がれていた。炎の光を浴びて、静かに、しかし絶対的な存在感を放つ白金の輝きに。
「だが…」と、幸村は続けた。「その戯言を語る貴殿の目は、儂がこれまで見てきた、どの武将の目よりも澄んでいる。死に場所を探して戦場を駆けたこの儂に…生きろ、と申されるか。この、豊臣秀頼が…」
彼は、ゆっくりと、傷だらけの身体を起こそうとした。家臣が慌てて支える。幸村は、俺の目を真っ直ぐに見据えた。その瞳には、もはや死の諦念はなく、新たな炎が宿っていた。
「面白い。実に、面白い!日本一の兵と謳われたこの真田幸村、生涯の最後に、とんでもない化け物に出会えたものよ。よかろう、右大臣殿。その与太話、この命を賭けて、まことにしてご覧に入れようぞ!」
その言葉は、天守にいる全ての者の魂を揺さぶった。死んだはずの英雄が、生き返った。そして、若き主君の奇策に、己の全てを賭けると誓った。絶望は完全に消え去り、そこには、勝利への狂信的なまでの確信が満ち溢れていた。
俺は、真田幸村の血に濡れた手を、強く握り返した。二つの時代、二つの魂が、白金の輝きの下で、今、確かに一つになった。




第五章:磁気嵐

ゴオオオッ…!
大坂城天守閣が、地鳴りのような咆哮に揺れた。徳川軍の総攻撃が、ついに天守の麓にまで達したのだ。城壁を乗り越え、堀を埋め、味方の屍を踏み越えてきた兵たちの鬨(とき)の声が、巨大な津波のように押し寄せる。窓の隙間からは、黒地に金色の三つ葉葵の旗指物が、まるで地面を埋め尽くす黒い森のように見えた。
天守の中は、異様な静けさと熱気に支配されていた。水で濡らされた柱や壁が、迫りくる炎の熱でじゅうじゅうと音を立て、蒸気を立ち昇らせている。三百余名の兵と女たちは、全員が持ち場につき、息を殺して、ただ一点、若き主君の背中を見つめていた。
俺、豊臣秀頼は、天守最上階の窓辺に立っていた。眼下には、徳川の兵どもが蟻の大群のように群がっている。彼らの目指すはただ一つ、この天守にいる俺の首。その先頭に立つのは、鉄砲を構えた足軽部隊だ。彼らの一斉射撃が、この最後の砦を沈黙させるための、戦いの序曲となるだろう。
「秀頼様、敵の鉄砲隊、射程に入ります!」
傍らに控える毛利勝永が、低い声で告げる。彼の顔には、死地を前にした武者としての喜びと、これから始まる未知の戦いへの緊張が浮かんでいた。
俺は、何も答えなかった。ただ、左腕を静かに、胸の高さまで掲げる。炎の光を乱反射し、Pt950のブレスレットがぬらりとした輝きを放った。斉藤健一の知識が、脳内で物理法則を再計算する。鉄粉の質量、落下速度、有効磁場の範囲…。計算上は、うまくいくはずだ。だが、ここは戦場。計算通りにいかないことなど、いくらでもある。
「放てぇぇぇっ!」
眼下で、徳川方の侍大将が絶叫した。その声に応じ、数百の火縄銃の火蓋が、一斉に火を噴く。轟音。白煙。数百の鉛玉が、死の驟雨(しゅうう)となって天守の壁に叩きつけられ、木片と土壁を無慈悲に抉った。
だが、俺たちの反撃は、それよりも一瞬早かった。
「今だ!撒けぇぇぇっ!」
俺の号令は、雷鳴のように天守に響き渡った。その言葉を合図に、全ての窓辺に配置されていた兵たちが、抱えていた革袋を逆さにする。
ザアアアアアアアアッ!
それは、異様な光景だった。天守の全ての窓から、黒い砂の滝が流れ出したのだ。槌で、石で、必死に砕いた鉄の粉。それは陽光を吸い込んで鈍く光り、まるで巨大な黒い帳(とばり)のように、徳川の兵たちの頭上へと降り注いでいった。
「なんだ、あれは!?」
「砂か?いや、灰…?」
徳川の兵たちは、空から降ってきた未知の物質に、一瞬、呆気に取られた。火攻めの灰か、あるいは何か不吉な儀式か。だが、それが武器でないと判断した彼らは、構わず二射目の準備に入る。弾を込め、火薬を注ぎ、火縄を構える。その、ほんの数秒の油断が、彼らの運命を決定づけた。
俺は、左腕に全神経を集中させた。掲げた腕のブレスレットが、まるで俺の意志に呼応するかのように、カッと白銀の光を放つ。ネオジム磁石の持つ、目に見えない強大な力。それが、俺の身体を通じて、眼下の空間へと解き放たれた。
「来たれ、鉄の眷属よ!」
次の瞬間、世界が変貌した。
ただ落下していたはずの黒い砂が、その動きをぴたりと止めた。そして、まるで生命を吹き込まれたかのように、渦を巻き、蠢き、一つの巨大な黒い獣となって、徳川の兵たちに襲いかかったのだ。
「うわあああああっ!」
「目、目がぁぁぁっ!」
悲鳴が、阿鼻叫喚の地獄を描き出した。鉄の嵐は、兵たちの顔に情け容赦なく叩きつけられ、その視界を奪う。口を開けば、じゃりじゃりとした鉄の味が舌を麻痺させ、呼吸すらままならない。
だが、本当の恐怖はそこからだった。
「か、身体が動かん!」
「鎧が…!鎧が勝手に!」
砂鉄は、甲冑の隙間という隙間に吸い込まれていった。そして、磁力に引かれて凝縮し、関節の動きを完全に封殺する。まるで、見えない鎖で縛られたかのように、兵たちはその場で身動きが取れなくなった。
そして、決定的な一撃が、徳川軍の心臓部、鉄砲隊を襲った。
「な、なんだ!?銃が…!」
鉄砲足軽たちが構えた火縄銃。その鉄製の銃身と機関部(からくり)が、強力な磁石と化したのだ。宙を舞う砂鉄が、まるで生き物のように銃口へと殺到し、銃身の内部にびっしりと詰まっていく。
「い、いかん!撃て、撃ち方やめ!」
指揮官の悲鳴も、もはや遅かった。パニックに陥った足軽の一人が、引き金を引いてしまう。
――― ドグシャァァァンッ!!!
それは、発射音ではなかった。破裂音だ。銃口を塞がれた火縄銃は、行き場を失った火薬の圧力を受け止めきれず、内部から爆発四散したのだ。木製の銃床は砕け散り、赤熱した鉄の破片が、射手自身と、その隣にいた兵士の身体を無残に引き裂いた。
一発の暴発が、連鎖的な恐怖を呼ぶ。
「ひいぃっ!」
「こ、これは…!祟りじゃ!豊臣の怨霊の仕業じゃ!」
次々と誘爆する火縄銃。仲間が、己の武器によって八つ裂きにされる様を目の当たりにした兵たちは、完全に戦意を喪失した。彼らにとって、この現象はもはや「戦」ではなかった。人知を超えた力による、一方的な「殺戮」だった。彼らは武器を放り出し、味方を踏みつけ、我先にと城から逃げ出していく。統制は完全に崩壊した。
天守の中は、外の地獄とは対照的に、水を打ったような静寂に包まれていた。そして、その静寂は、やがて一人の武将の、腹の底からの大笑いによって破られた。
「か、はは…!はーはっはっはっは!見たか!見たか、修理!これが、我が殿の戦よ!神か!鬼か!もはや、人の成せる業にあらず!」
瀕死の身体を家臣に支えられながら、真田幸村が狂ったように笑っていた。その目には、涙さえ浮かんでいる。大野治長も、毛利勝永も、他の全ての者たちも、目の前の光景が信じられず、ただ呆然と立ち尽くすばかりだった。
俺は、渦巻く砂鉄の嵐の中心で、静かに腕を下ろした。左腕のブレスレットが、まるで何事もなかったかのように、冷たい輝きを放っている。
やった。成功だ。
徳川軍の第一陣は、壊滅した。何より、敵の心に、得体の知れない、根源的な恐怖を植え付けることに成功した。
これは、歴史を変える、大きな一歩だった。
(第六章へ続く)



ここで毎度お馴染みの、ヤフーからお前の話は長過ぎるからとクレームが(´;ω;`)

https://note.com/brand_club/n/n1f9f6acfd5d4

一応、続きはこちらにアップしときました〜〜

正在加载数据,请稍后……

卖家信息
温馨提示:

74164 23
大阪府
51买JP提醒
常见问题

出价竞拍

本   品   现   价:31.00日元(RMB1.59元)
本次加价至少为:10日元
出 价 金 额: 日元
出 价 件 数:
折合人民币: 0元
 
温馨提示:本品商家好评为74164,差评为23,供参考使用,出价成功后不能弃标,弃标要扣除弃标费用。

预约出价

本   品   现   价:31.00日元(RMB1.59元)
本次加价至少为:10日元
为避免被人恶意抬价,您出的价格会在结束前十五分钟由系统进行出价,也为您节省了宝贵的时间
出 价 金 额:  日元
出 价 件 数:
折合人民币: 0元
 
温馨提示:本品商家好评为74164,差评为23,供参考使用,出价成功后不能弃标,弃标要扣除弃标费用。

直接购买

本次直接购买价为:2640000.00日元(RMB135432.00元)
直购价: 日元
出价件数:
 
温馨提示:本品商家好评为74164,差评为23,供参考使用,出价成功后不能弃标,弃标要扣除弃标费用。

会员等级说明

查看详细>> 您需要升级保证金后方可出价竞拍
关闭
前去升级保证金