徳野大空（とくの たいくう、1914年3月9日 1974年6月12日）は、群馬県安中市出身の書家であり、現代書道界において重要な役割を果たした人物です。
本名は徳野輝雄（とくの てるお）です。

略歴と活
動 生誕と初期の学び：
1914年、群馬県碓氷郡後閑村（現・安中市下後閑）に生まれ、半田神来に師事しました。群馬師範学校卒業後、秋間小学校に奉職し、その後、書学院の夏期講習会に参加して書への志を深めました。
師事と受賞歴：1935年に上京し、比田井天来に師事。天来没後は手島右卿に師事し、1940年の大日本書道院展で最高賞を受賞。1943年には日満支三国展で最高総理大臣賞を受賞しました。
戦後の活動：戦後は日本書道美術院展の審査員を務め、1949年には日展で書部門初の特選受賞者の一人となり、戦後書壇を牽引しました。
研究と創作：1958年に羊毛筆の研究を始め、「玉品」「牛歩」「玄潮筆」などを創作。1961年には墨の研究に着手し、金粉入り青墨を製作しました。
玄潮会の創設：1967年に書道団体「玄潮会」を創設し、古典に立脚した現代書の創造を目指しました。
晩年の活動：全国各地で書道講習会の講師を務め、書の普及に尽力しました。

代表作と特徴
「草原」：1963年に制作された代表作「草原」は、「艸」の字を無数に書き連ね、草原の風景を表現した作品です。
細部にわたる繊細な筆致と墨の濃淡が特徴で、書と絵画の融合を試みた作品として評価されています。
「火山」：成田山書道美術館所蔵の作品「火山」は、山の麓にマグマが溜まり、今にも噴火しそうな力の凝縮を感じさせる書であり、力強さと躍動感が特徴です。

著書と出版物
書籍：『私たちの習字』上・中・下（昭和28年）、『書典』一・二・三（昭和29年）、『新書典』（昭和29年）、『書典基本用』（昭和29年）などを編集・発行しました。
雑誌：月刊書道誌『火山』（昭和33年）、『現代書芸』『あすなろ』（昭和41年）、『玄潮』『火山』（改称発行、昭和46年）などを発行し、書道の普及と発展に寄与しました。

遺産と評価
徳野大空の作品や思想は、現代書道の可能性を広げ、多くの書家に影響を与えました。
彼の作品は成田山書道美術館などに収蔵されており、2024年には生誕110年・歿後50年を記念した展覧会が開催されました。



表具寸法（軸先含む）★約51×208
本紙寸法★約34×134


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