イギリスのパンク・ロック・バンド、ザ・クラッシュの1999年発表ライヴ・アルバム。「コンプリート・コントロール」「ロンドンは燃えている!」「ワッツ・マイ・ネーム」他、全17曲を収録。 『From Here to Eternity』は、かつてクラッシュがなぜ世界でもっとも偉大なロックン・ロール・バンドといわれたのか思い出させてくれる、驚くべきコレクションだ。ロンドンのミュージック・マシーンの簡素な舞台に立った頃から、ニューヨークのシェイ・スタジアムのような巨大ドームで演奏するようになるまでのバンドの姿を追った内容である。この過程で、荒っぽいパンクスだったクラッシュは、成熟した国際派ロック・スターへと着実な変化を遂げた。スリー・コードで突っ走るセルフ・タイトル・デビュー・アルバム(「What's My Name」)に始まり、ジャンルの壁を飛び越えたゴッタ煮感覚が魅力的な『London Calling』(「Armagideon Time」)へ、そして自信に満ち、過激派宣言とも取れる『Combat Rock』の白鳥の歌(「Should I Stay Or Should I Go」)へと、彼らの芸風は急速に発展していったのだ。ジョー・ストラマーが無遠慮に毒舌をふるい、ミック・ジョーンズがヒッピーたちの自己満足を自慢のギターで粉々に砕き、トッパー・ヒードが打ち出す見事なまでに強固なリズムとポール・シムノンの情熱が結びつくとき、スピーカーから赤裸々なエネルギーが噴出する。折り紙つきの素晴らしさだ。(Ian Fortnam, Amazon.co.uk)これが初のライヴ・アルバムとは意外や意外。セックス・ピストルズと並ぶロンドン・パンクの代表格、クラッシュの8年間にわたるライヴ活動のなかからメンバーが自ら選んだ17曲で構成された本作は、まさに究極のライヴ盤だ。彼らがライヴ・バンドとしても一級品だったことを見事に証明している作品といえよう。レゲエなどを取り入れた、パンクの枠にとらわれない幅広い音楽性にもあらためて注目してほしい。トリビュート盤、ジョー・ストラマーの新作のリリースと、今年はクラッシュ再評価の1年になりそうだ。 (木村ユタカ) --- 1999年11月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)