第一人者・亀山郁夫による、「100分de名著 『ドストエフスキー； カラマーゾフの兄弟』」です（NHK出版、2019年12月刊）。状態は未使用に近く、非常に良好です。送料は、クリックポストで185円です。

★内容：　世界文学史上の最高傑作のひとつとの呼び声も高い「カラマーゾフの兄弟」。ロシアの文豪、ドストエフスキーの代表作である。ドストエフスキーが人生の集大成として執筆したともいえるこの名著を、現代の視点から読み解くことで、「生きるとは何か」「善と悪とは何か」「本当の意味での魂の救いとは何か」といった、人生の根本的な問題を深く考えていく。

　好色で老獪な田舎地主フョードル・カラマーゾフには三人の息子がいた。激情的で熱血漢の長男ドミートリー、冷徹な知性を持つ無神論者の次男イワン、心優しき修道僧の末弟アリョーシャ。そしてフョードルが産ませた私生児と噂される使用人のスメルジャコフも。父とドミートリーの間に起こった財産相続問題を話し合うために三兄弟が集結したが、ゾシマ長老の仲裁にもかかわらず決裂。更に問題をややこしくしているのは、父とドミートリーがグルーシェニカという妖艶な女性を取り合っていたことだった。解決に奔走するアリョーシャは「信仰のゆらぎ」に直面しながらも少しずつ成長していく。ところが、そんなある日、父フョードルが自宅で殺される。果たして「父殺し」の犯人は？　その究明のプロセスの中で、人類にとって根源的な問題が浮き彫りにされていく。

　この物語の中に私たちが生きる時代の原型的な姿があるというのはロシア文学者・亀山郁夫。農奴解放によって一見改善されたかに見えたロシアには新たな神が生まれていた。「お金」である。それは、庶民の中に静かに息づいていたキリスト教的世界観を破綻させ、人々を限りない欲望とアナーキーな自由へと駆り立てていった。「お金」と「欲望」に翻弄される人間を描ききった「カラマーゾフの兄弟」の物語は、グローバル資本主義や未曽有の格差社会によって翻弄される現代人たちを映し出す鏡であり、そこで問われた「本当の自由とは？」「人間の強さや弱さとは？」「魂の救いとは？」「真の幸福とは？」といった問いは、私たち自身を鋭く突き刺す問いだと亀山はいう。

★フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー（英語表記； Fdor Mikhailovich Dostoevskii、1821 - 1881年）は、ロシアの小説家・思想家。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。その著作は、当時広まっていた理性万能主義（社会主義）思想に影響を受けた知識階級（インテリ）の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評されることもある。反ユダヤ主義者としても知られる。16歳でペテルブルグの工兵学校に入り、卒業後陸軍中尉として工兵局に勤務したが1年足らずで退職。 1845年処女作『貧しき人々』を完成、作家的地位を確立した。 1849年、空想的社会主義者のサークルに参加したかどで死刑宣告を受け、処刑直前に減刑されてシベリアに流刑。 1859年に帰還しその2年後、兄ミハイルとともに『時代』誌を創刊。長編『虐げられし人々』 、『死の家の記録』を連載し、文壇に復帰。その後『時代』誌の発禁後に刊行された『世紀』誌に『地下室の手記』を発表、以後の作品の方向を決定した。

★著者、亀山郁夫は1949年、栃木県宇都宮市生れ。ロシア文学者。東京外国語大学ロシア語学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。名古屋外国語大学長、東京外国語大学名誉教授。日本藝術院会員。ソ連時代の芸術や文化、特にドストエフスキーについて論評・訳書を多く著している。おもな著作に、『破滅のマヤコフスキー』（木村彰一賞）、『磔のロシア スターリンと芸術家たち』（大佛次郎賞）、新訳『カラマーゾフの兄弟』（毎日出版文化賞特別賞、ロシア・プーシキン賞）、『謎とき「悪霊」』（読売文学賞研究・翻訳賞）、ほかに『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』、『ドストエフスキー『悪霊』の衝撃』、『甦るフレーブニコフ』、『ドストエフスキー 共苦する力』など。ほかの訳書に『罪と罰』、『悪霊』、『地下室の記録』など。

※出品ページに表示の「配送方法」はあくまで単品でご落札いただいた場合の方法と送料でございます。複数点をご落札いただいた場合は、最も経済的な方法で一括発送いたします。具体的には、ヤフオクに「まとめて取引」という仕組みがあり、ご落札者による「まとめて取引」の要請に応じて、出品者より一括送料をお知らせし、その上で一括決済いただくという流れになります。