森毅／竹内啓著、「数学の世界」（中公文庫）です。状態は、全般にかなり良好です。送料は、クリックポストで185円です（※厚さ2cm以下の文庫本は、合計１㎏を超えない範囲で4冊程度まで同梱可能です）。　

★内容：　集合ブームの学校数学への疑問から始まり、例えば算数でおなじみの+-×÷などにも数学の本質的な構造が意外に深く根をおろしていることを明らかにし、ついで、ユニークな発想で数学の世界の生い立ちをとらえる。教育にも深いかかわりをもつ数学者と、数学の社会的役割に強い関心をよせる統計学者のイキの合った討議は、人間の文化を豊かにするものとしての数学の世界を楽しく描き出し、その教え方、使われ方の現状を的確に批判する。 解説は、『独学大全』の読書猿。

　「対談、座談の多い印象のある森だが、この本はその中でも出色の一品。大抵の場合、森毅のキャラクターが場の空気を制圧して、対談全体がゆるくホニャララなものになってしまうところ、終始冷静な竹内啓は森が出す論点(そして小ネタやとぼけ)のことごとくに異論をとなえ冷水を浴びせかける。こうして、森の面白おかしいネタへの脱線と、それに応じない竹内の生真面目な切り返し、森の縦横無尽に展開する雑学と竹内の実用知の経験とが混じり合い、絶妙の汽水域を作り出していて、数学の純粋な楽しみと応用の豊かさ、そして自由さや厳密性がモザイクと化して、数学の多面的な魅力を描き出し、数学オンチの自分が、それでも諦め悪く数学と付き合い続けるルーツとなっている」 （読書猿；「私をつくった中公新書」より）

　はしがき ／竹内 啓
　第１部 数学の世界を獲得する
　　　・数学と論理
　　　・基数・序数・自然数
　　　・たす・ひく・かける・わる
　　　・連続量と実数
　　　・関数
　　　・代数系
　第２部 数学の世界をふりかえる
　　　・ギリシャ 数学の世界の誕生
　　　・イスラム 代数の発達
　　　・16、17世紀 数学の世界の大展開
　　　・18世紀 偉大な職人の世紀
　　　・19世紀 専門家の時代
　　　・現代 構造解明の数学
　第３部 数学の世界を楽しむ
　あとがき ／森 毅
　文庫版のためのあとがき ／竹内 啓
　解説 ／読書猿

★対談者、森 毅（もり つよし）は1928年、東京生まれ。1950年 東京大学理学部数学科卒業。北大理学部助手を経て、京都大学教養部助教授、同教授、同名誉教授。専攻は、関数空間の解析の位相的研究。数学、教育関連のほか、社会や文化に至る広範な評論活動を行い、『ちくま文学の森』・『ちくま哲学の森』などの編集にも加わった。『数学的思考 その論理と構造』、『現代の古典解析-微積分基礎課程』、『数学の歴史』、『位相のこころ 位相空間論と関数解析のために』、『数学と文化 一刀斎対談』、『数の現象学』、『魔術から数学へ』、『ものぐさ数学のすすめ』など、多数の著書がある。2010年死去（享年82）。

★同、竹内 啓（たけうち けい）は1933年生まれ。数理統計学者・経済学者・科学史家。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授、明治学院大学名誉教授。諸学術を俯瞰・網羅した知識に基づく視座・史観・思考を有する学者とされる。計量経済学と数理統計学の膨大な著作と、博学な見識に基する科学史、文明論、思想、科学技術、環境保全などの多数の著作をワイド・スコーピックに展開した。石橋湛山賞、日本統計学会賞などを受賞。瑞宝重光章。

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