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久米元一の稀少ジュニア探偵小説『どくろ仮面』（ポプラ社）

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久米元一の稀少ジュニア探偵小説『どくろ仮面』（ポプラ社）: 商品编号：s1193873123 【浏览原始网页】

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ポプラ社。1955年刊、初版。貸本あがり、綴じ糸あり。カバーの袖が本体に貼りつき（出版社のカバーの上に、貸本屋の透明なビニールカバーがかかっています）。カバーにヨレ。後ろの遊び紙に貸本屋印。落丁ならびに文字の欠落はありません。貸本特有のシミ・汚れあり。角折れ頁あり。下部（余白部分）に裂け目の入っている頁あり。41頁の端に裂け（挿絵の端にかかっています）。カバー絵：牧秀人、挿絵：有安隆

ポプラ社の久米元一のジュニア探偵小説のなかでは、もっとも出現率の低いもの

【内容紹介】

長野県の北はずれの黒姫山のふもとに暮らす武男と春江の父親は、半年ほど前に山へたきぎを取りに行った際に負傷し、目がかすんで見えにくくなっていた。東京の大学病院でみてもらうため、両親そろって上京しているあいだ、武男と春江の兄妹が留守番をすることになった。武男は門口を出ようとしている父親から、「あの三階のあかずの間にだけは、決してはいらないように」と、釘をさされる。あかずの間には古い証文がいっぱいつまった長持があり、そこに入った者は、ひどい熱が出て、三日目には必ず死ぬといわれていた。武男の家は、木造三階建ての、元禄時代に建てなおしたという古い家で、いつぞや東京から建築学者が調べにきたこともあった。武男たち一家の先祖は、上杉謙信の宿将の家来で、徳川時代になってからいまの場所にひっこんで、代々名主をつとめてきたが、たくさんあった山や畠も、いまではあらかた人手にわたり、親子四人がどうにかこうにかやってゆかれるほどの、ひどい落ちぶれようだった。

両親の出発したあと、ガンちゃんなる炭焼きのせがれの力持ちの少年と、ウサ公と呼ばれるやせっぽちの少年がやってくる。ふたりで留守番は寂しかろうから、泊まりにきたというのだ。武男からあかずの間のことを聞いたガンちゃんは、好奇心むきだしで、あかずの間のとびらを調べ、足もとに煙草のすいがらが落ちているのを見つける。武男の父親は喫煙者ではないことから、家に侵入した何者かがあかずの間に入ろうとした可能性があった。真夜中に、三階のほうから聞こえてくるはげしい物音と、「あっ！」という叫び声を耳にした武男が、あかずの間のほうに向かうと、とびらは開け放たれ、長持のあいだにガンちゃんが倒れていた（画像4参照）。そのガンちゃんの話では、三階の部屋のあたりからみしっという音がしたので、戸をこじ開けて入ってみたところ、鎧の後ろに隠れていた何者かに頭を殴られたのだという。ガンちゃんがこじ開ける前には入口の戸は釘づけされており、賊がどこから侵入したのか、謎だった。

四人であかずの間を探索した結果、うすぐらい天井の、真黒にすすけた黒い梁の上に、ふとい釘で打ちつけられている、されこうべ（髑髏）が発見される（画像5参照）。その口のなかには小さな巻物が収められており、宝のことを示した謎の言葉が記されていた。一階に戻って、四人でそれについて話し合っているところに、片目のお坊さんが訪ねてくる。お坊さんは、先祖の所業によってこの家には呪いがかかっているので、されこうべを元あったところに戻しておくよう進言して、出ていく。くだんのお坊さんが偽者であることを見抜いたウサ公は、ある計略を思いつく。偽のされこうべを天井の梁のところに戻しておいたうえで、あかずの間にこっそり備えつけたマイクロフォンによって、怪賊たちが忍びこんでくるのを察知しようというのだ。はたして十二時ちょっと前に何者かが侵入している音が聞こえてきたので、三階に向かうと、されこうべがなくなっているにもかかわらず、あかずの間のなかには人っ子ひとり見当たらなかった。窓はぴったりとしまっており、怪賊はされこうべを持ったまま、煙のように消え失せていた！

このあと、怪賊たちに本物のされこうべが奪われ、春江もさらわれてしまうなか、心強い味方が東京からやってくる。武男の従兄で、東大を出た頭脳明晰なスポーツマンの壮一郎兄さんと、壮一郎の父親の助手で、考古学に明るく、探偵や冒険に深い興味を持っている、美しい水島順子のふたりで、水島女史は危険もかえりみず、敵地に乗りこんでいく（画像7参照）。

冒険あり、謎解きあり、暗号解読ありと、スリリングかつスピーディーな物語が展開し、中盤過ぎには、髑髏を描いた仮面を頭からすっぽりかぶり、白黒だんだら染めのガウンを着た、生きた骸骨のような異様な姿の敵の団長も登場してくる（画像8参照）。その正体はすこぶる意外で……このあたりの荒唐無稽さも、いかにもこの作者らしい。

併録短編の「フィルムの謎」にも武男と春江の兄妹が登場するが、やや設定は異なり、武男は少年街頭写真師をしている。その武男が撮った写真のなかにとんでもないものが写っていたことから、ふたりは重大な事件に巻きこまれ、危機的状況に陥る。

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