ケルビーニ 歌劇 メデ/メデア（フランス語版） DVD 未開封 廃盤? ミヒャエル ストレイト ケルクホーフェ テクシエ ストタイン 2011.9. ルセ レ・タラン・リリク ブリュッセル モネ劇場 ラルリコウスキ

ケルビーニの“メデ”のDVDです。普通には“メデア”として…はっきり言えば “カラスのメデア”として親しまれている曲のオリジナルフランス語版による演奏です。作曲家がイタリア人ですし、日本人にとっては 聴き慣れたイタリア語版でも然したる不都合は見当たらないとは言え…フランスで作曲されたオペラコミーク様式のフランスオペラですので、原典版による演奏はオリジナルゆえの特徴が色濃く、これはこれで興味深く 貴重な成果だと考えられます。
オペラコミークですので、レチタティーヴォではなく 地のセリフでナンバーを繋ぐ点が大きな違いだと言えましょう。つまり“カルメン”オリジナル版と同様の問題が存する訳ですが、世話物ならともかく 復讐を扱った古典劇をセリフで運ぶのはかなり至難で、仮に専門の俳優が演ってもハードルは高かろうと想像されます。その辺りは レチタティーヴォ版の存在意義がおおいに納得されるところです。役名 “メデア ジャゾーネ グラウチェ”が 原典だと“メデ イヤソン ディルセ”に変わる訳で、語感のみならず 音楽の力感までがそれに比例した変化を見せていて ちょっと面白いです。
レチタティーヴォを補作したレヒナー（1890年没）という方はケルビーニの2世代程下の作曲家とのこと。時代が近い分 補作に唐突感がないのも道理で、従来版での上演は今後も続くのだろうと感じられます。
モネ劇場 2011年9月の舞台だそうです。何よりも ナージャ ミヒャエルのメデアが注目でしょう。初期はメゾを歌っていた方で、ソプラノに進出してからの“サロメ”など 本当に素敵でした。ほどほどにドラマチックで・演技がうまく・美人で・スレンダーで… 少し前までは考えられない様なハイスペックぶりに驚かされます。ジャケット写真でもわかる通り、ここでもキャミソール（キャミソールワンピース?）を着こなし 腕にはタトゥーを入れて、イケイケ感が満載。二枚目のお兄さんが ヤンキーの女性と関係をもち 子供までもうけていながら→裕福な若い娘へと心が移り→その娘との結婚を知った元カノは激怒→ブルジョア一家を殺害 …と言う流れが想像されます。これだと“魔法を使う王女”は消え去りますが、劇の本質はけっこう的確に捉えていて、“読み替え”とは言い切れない巧さだと感じました。ケルビーニの音楽自体が いかにも“古典派”風なゴツゴツとした感触なので、こんなアケスケな愛憎劇にはピッタリではないかと納得がいきます。
激しいセリフを地声で朗誦するなど フランス語版は歌手の負担が大きく、特別な機会以外にそう上演が繰り返されるとは考えにくい面があります。その意味でも この録画は貴重だと考えます。劇場での上演ですので、多少のカットやナンバーの入れ替えなどがあるかもしれないです。
この品、あるサイトを覗くと“取り寄せ品” 他では“注文不可”でした。流通上はよくある事ですが、すでに廃盤かも知れず 先行きは不透明だと感じました。

余計なことですが… ショップの紹介文では タイトルが“女王メデア”でした。“女王” と“王女” は意味が異なり、この場合は“王女”が正解だと思います。
私は このDVDは未視聴です。“メデア”のフランス語版はヌウォーヴァエラのCDを聴いておりました。

未開封につき中身は確認しておりません。落札後にご了解があれば検品の上発送いたします。その他は基本的にはNC.NRでお願いします。ただし未開封と言うのもたのしみなもので…。

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