当時、全世界に衝撃を与えた`引退宣言`と共に発表されたアルバム。エミネム、ネプチューンズ、ジャスト・ブレイズ、カニエ・ウェスト、ティンバランド、リック・ルービン他、ジェイ・Zがリスペクトするプロデューサーだけを起用した2003年作品。 本作が本当にジェイ・Zの引退前の最後のアルバムになるとしたら、少なくともジェイはほぼ絶頂期に姿を消すことになる。最高傑作としてリスナーの記憶に残ることはまずないだろうが、これまででもっとも私的なアルバムであり、もっとも胸に迫るトラックをいくつか聴かせてくれる。本作にはジェイの消極さと大胆さがあらわれている。ところどころ冴えないところがあっても、彼の残した遺産が正当に認められるように万全を期しているのだ。 けれどもライムにおいては、「December 4th」といったトラックで少年時代の苦闘をさらけだし、「What More Can I Say」と痛烈な「Threat」で敵対者をこき下ろしているものの、鋭い切れや深い洞察がめったにみられない。一方、長年の盟友であるジャスト・ブレイズとカニエ・ウェストは第一級のプロダクションを次から次へと繰り出している。とくにブレイズはすばらしく、「December 4th」「Public Service Announcement」のビートは本作でも最高のできだ。新人のアクアとブキャナンズもいい仕事をしているが、エミネムの手がけたマイナーコードの「Moment of Clarity」は月並みに終わっている。 本作のリリース後ジェイは闇に姿を消してしまうのかもしれないが、このラストアルバムは決して失敗作ではない。開封していますが、未使用です。念のため中古扱いで出品しています。邦盤。歌詞、対訳、解説、帯付き。サンプル。